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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週8月15-19日週の為替相場は、根深い欧米債務金融不安や世界減速懸念による円高リスクの継続と反動修正をにらんだ展開となる。

前週末12日の米国株は上昇。

消費者信頼感指数の悪化などで値を崩す場面もあったが、小売売上高の底堅さや欧州での金融株の空売り規制などで過度な不安が一服した。

7月7日以来の2日続伸となり、大幅高と大幅安が繰り返される乱高下に歯止めが掛かっている。

今週は16日に独仏首脳会談が予定されており、過度な不安心理が払拭できるかが焦点になる。

米国も26日のバーナンキFRB議長の講演に向けて、追加緩和の具体化期待が高まってきた。

前週までに様々な悪材料の織り込みが進捗しており、過度な揺り戻しの反動修正的な日米株高と緩やかな円安が注目されるだろう。

米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は前週12日、一時48ポイントと大きく上昇した。

昨年5月のギリシャ危機以来の信用不安の高まりを示している。

しかし、そこからは低下に転じ、12日は36で前週を終えた。

週足のローソク足チャートでは長い上ヒゲ陰線を残しており、一旦の危機収束とVIX低下の可能性が示唆されている(米国株は反発示唆=リスク回避後退)。

ちなみにリーマン・ショックを除いた金融経済危機のVIX最高レベルが、ちょうど48-50となってきた。

その意味で一定の最悪ケースへの備えは進展している。

もっとも現在の債務金融危機は「リーマン危機以上」との指摘も根強い。

今週以降は新たな悪材料が出てきて株安・円高の泥沼化に拍車が掛かるか。

あるいは一旦の混乱クライマックスを通過して、株高・円安に振れるかの重要分岐点となる。

すでに円と同じ安全逃避やリスク回避で買われてきたスイス・フランや金、米国債には、前週から過熱調整売りが見られている。

円についても、短期調整的の売り戻し(ドル/円やクロス円での外貨反発)に転じる可能性が消えていない。

日本の当局は今週は夏休みを先送りし、臨戦態勢で円高リスクに備える模様だ。

1ドル=76.20-30円割れ、76.00円割れ、75.00円割れなどにはノックアウト・オプション関連などのストップロス(損切り)オーダーが山積しており、ひとたび割り込むと70円が視界に入りかねない。

そうなると70-80円レンジでの定着が現実化する。

空洞化リスクを回避させるためにも、政府・日銀の円高阻止策の継続が焦点となろう。

テクニカルではドル/円、クロス円(スイス/円を除く)ともに、「5日移動平均線の上抜け定着」と「5日線の方向性の上向き転換」を見極める展開となる。

上抜けや上向きに失敗すると、5日線を上値メドとした戻り売りが継続。

今年3月や昨年来の外貨安値が意識される。

反対に上抜けや上向きが明確化してくると、まずは21日線や25日線などへの外貨の自律反発(円反落)が想定されそうだ。





経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<15日・月>
08:50 日4-6月期国内総生産[1次速報]
(震災被害や電力不足などで下振れ懸念。安全逃避の円買いを制御)
21:30 米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(株安や債務不安で景況心理は悪化。資源安や生産復旧が過度な下押しを抑制)
23:00 米8月NAHB住宅市場指数
(住宅市場は低迷が続くも、長期下落が底這いに移行)

<16日・火>
10:30 豪中銀議事録[8月分]
(欧米中の不安などで景気に慎重姿勢も。利上げ封印と将来的な利下げが豪ドル圧迫)
15:00 独4-6月期国内総生産[速報]
18:00 ユーロ圏4-6月期国内総生産[速報]
(世界減速懸念や債務不安、日本の震災被害などで低迷懸念。ユーロの上値抑制)
17:30 英7月消費者物価指数
(資源下落や景気の減速で物価上昇に歯止め。ポンドの上値を抑制)
21:30 米7月住宅着工件数
(前月は集合住宅の大幅改善で上振れ。反動減速に警戒感)
22:15 米7月鉱工業生産
(自動車生産の復旧などが上振れ要因。猛暑で電力やガス関連の生産活動も拡大)
独仏首相会談
(基金増額などの好材料が出ればユーロ高や株高・円安。失望リスクも消えず)

<17日・水>
07:45 NZ・4-6月期生産者物価指数
(資源下落や世界的な減速が物価上昇に歯止め。NZドルの上値を抑制)
17:30 英中銀、金融政策委員会議事録[8月分]
(世界減速やインフレ後退などで追加緩和派が勢力拡大も。ポンド安要因)
20:00 南ア6月小売売上高
(前週にランドは急落。懸念ほど悪化しなければランドの自律調整的な反発支援)
21:30 米7月生産者物価指数
(資源下落や景気減速で安定化も。米債金利の低下とドル安要因)

<18日・木>
08:50 日7月貿易収支[通関統計]
(生産復旧で輸出が復調。需給面での潜在的な円高要因)
17:30 英7月小売売上高
(欧米経済の不安や株安、歳出削減などで低迷警戒)
21:30 米7月消費者物価指数
(資源下落の影響には時間差。昨年来の資源高やドル安の累積効果で上振れも。米債金利の低下とドル安を抑制)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週改善の反動悪化と緩やかな改善トレンド持続の両にらみ)
23:00 米8月フィラデルフィア連銀景況指数
(債務懸念と株安が重石。資源下落や生産の復旧は下支え要因)
23:00 米7月中古住宅販売件数
(先行指数の販売成約指数は2カ月連続で上昇)

<19日・金>
20:00 加7月消費者物価指数
(資源下落や世界減速などで落ち着きも。カナダ・ドルを圧迫)
21:30 ダドリー・ニューヨーク連銀総裁、講演
26:45 ピアナルト・クリーブランド連銀総裁、講演
(追加金融緩和への前向き度合いや具体策のヒントが焦点に)





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