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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週8月22-26日週の為替相場は、引き続き欧米の債務金融不安や世界減速懸念による円高の長期化と短期調整をにらんだ展開となる。

前週末19日も円高が継続。

ドル/円は一時75.95-00円を記録し、戦後ドル最安値を更新した。

引き続き同レベルの下や75.00円などの節目割れではノックアウト・オプション関連などのストップロス(損切り)が山積しており、雪崩式にドル安が加速される火種が消えていない。

焦点は今週からの財務省・日銀による政策対応だ。

22-24日には米国のバイデン副大統領が訪日するため、その期間中の日本の単独介入は行いにくい。

円高加速の場合、まずは日銀の緊急会合による追加緩和が焦点となる。

もっともバイデン氏は前週の中国訪問で米国債の格下げによるドル不信の払拭に努め、ドル基軸の維持に理解を求めた。

日本にも米国債の継続保有を要請してくれば、急激なドル安・円高の場合に日本の当局がドル買い(=米国債購入)を行うことには一定の理解が得られる。

同時に今週の最大のイベントはバーナンキFRB議長の26日講演となる。

昨年は同じシンポジウムで追加量的緩和(QE2)の可能性が示唆され、直後にドル安・円高が加速。

日本の当局は対応が後手に回った苦い経験がある。

昨年の教訓もあり、26日の講演の前に日銀が大胆な追加緩和などで円高・ドル安の防波堤を築く可能性も消えていない。

もっとも米国では昨年に比べて物価が上昇傾向にある。

最近は共和党の大統領候補からFRBによる国債買い入れを通じた財政赤字の拡大支援に批判がなされており、バーナンキ氏は思い切った緩和措置を打ち出しにくい。

講演が失望に終われば米国株の一段安とリスク回避の円全面高、対円以外でのドル高という波乱リスクも残されている。

しかも今週の米国やドイツの経済指標は、いずれも悪化リスクがくすぶっている。

ドル安とユーロ安が交互に襲来する形での消去法的な円高継続には注意が必要だろう。

一方で現在の八方塞がりの円高は、いったんのクライマックスに向かっている側面も否定できない。

テクニカルで過熱感を示すRSI指数(相対力指数)などでは、長期スパンの月足ベースでドル/円は過去最低水準へと低下。

ドルの売られ過ぎと円の買われ過ぎが示唆されている。

日本の政策対応や各国の政策協調による世界株安と世界減速懸念への歯止め、日本国債の格下げなどを契機として、一気に円の過大評価の是正が進む潜在エネルギーも蓄積されてきた。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに、短期的には5日移動平均線の動向が焦点になる。

5日線の上抜けや5日線の方向性が上向き転換してくれば、5日線を下値メドとした外貨の押し目買いへ(円の戻り売り)。

反対に5日線の下抜けが続いたり、方向性の下向き化が明確化してくると5日線を上値メドとした戻り売りが意識される。

また、ドル/円、クロス円ともに、1カ月スパンのトレンドラインを示す21日線や25日線の下抜けと下向き状態が続いている。

両ラインの下向き化が続いている間は、こうした抵抗線を上値メドとした戻り売りと外貨の下落リスク(円高)が警戒されるだろう。





経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<22日・月>
21:30 米7月シカゴ連銀全米活動指数
(自動車生産の復旧が過度な悲観を抑制。7月の鉱工業生産も改善)
23:00 米4-6月期住宅ローン延滞率
(住宅バブル崩壊の根深い後遺症を確認へ)
バイデン米副大統領が22-24日に訪日
(日本の単独介入に制約。米国債の信認アピールなら日本のドル安阻止策に追い風)

<23日・火>
12:00 NZ・7-9月期RBNZインフレ期待
(資源反落や世界減速で先行き物価は落ち着きへ。NZドルの上値抑制)
13:00 バッテリーノ・オーストラリア中銀副総裁、講演[シドニー]
(欧米中の先行き不安で景気慎重見通しも。利上げ後退が豪ドルの上値抑制)
16:30 独8月製造業PMI[暫定値]
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI[暫定値]
18:00 独8月ZEW景況感指数
(債務金融不安や株安などで欧州の景況マインドは悪化)
23:00 米7月新築住宅販売件数
(中古販売は悪化で低迷濃厚。ただし先行指標の一戸建て建設許可件数は小幅増加)
米2年債入札
(安全逃避で根強い需要。債券価格の高値過熱感により、不調なら金利上昇とドル高の波乱)

<24日・水>
07:45 NZ・7月貿易収支
(世界減速や資源下落、通貨高で輸出の鈍化警戒。赤字拡大ならNZドルを圧迫)
17:00 独8月Ifo景気動向指数
(ユーロ圏の債務金融不安や世界減速、ドイツ株急落などで下振れリスク)
21:30 米7月耐久財受注
(自動車生産の復旧や航空機の特殊な受注が下支え)
23:00 米6月住宅価格指数
(住宅市場の長期低迷は持続。ただし、一定の悪化は織り込まれる)
米5年債入札
(安全逃避で根強い需要。債券価格の高値過熱感により、不調なら金利上昇とドル高の波乱)

<25日・木>
07:45 NZ・7月食品価格指数
07:45 NZ・4-6月期小売売上高指数
(資源下落や世界減速が下振れリスク)
18:00 スイス8月ZEW景況感指数
(通貨高の影響焦点。底堅さを示すとスイス・フラン高の仕掛けが持続)
19:00 英8月CBI流通取引調査
(欧米の減速などで英国の指標は悪化)
21:30 米新規失業保険申請件数
(景気減速や債務不安が重石。前週の悪化のテクニカルな反動改善が波乱)

<26日・金>
08:30 日7月全国消費者物価指数
(基準改定が下押し要因。根深いデフレによる円高圧力と日銀緩和期待の円安の綱引き)
08:30 スティーブンス・オーストラリア中銀総裁、議会証言
(欧米中の先行き不安で景気慎重見通しも。インフレ警戒を堅持なら豪ドル高の波乱)
17:30 英4-6月期国内総生産[改定値]
17:30 英6月サービス業指数
(欧米不安や緊縮財政などで英国の指標は低迷)
21:30 米4-6月期国内総生産[改定値]
(在庫積み上がりや貿易赤字の再拡大などで下方修正のリスク)
22:55 米8月ミシガン大学消費者信頼感指数[確報]
(欧米債務不安や減速懸念、株安などで低迷リスク。速報の下振れで一定の悪化は織り込み)
23:00 バーナンキFRB議長、経済シンポジウムで講演[ジャクソンホール]
(追加緩和を示唆なら株高とドル安、クロス円の円安。物価上昇や共和党の緩和批判に配慮し、様子見を示すと失望の株安、円高、対円以外のドル高)





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