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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週10月10-14日週の為替相場は、過度なリスク回避相場の自律調整的な円全面安と、根強いユーロ安やドル安、資源通貨安(円全面高)のせめぎ合いとなる。

前週末7日のNY市場では、円全面安のあとユーロ/円主導で円が反発(外貨安)。

米国の雇用統計改善がドル高やリスク選好の円全面安を招く場面があったが、イタリアとスペインの格下げを受けてユーロが反落した。

同時に米国株も下げに転じたことで、リスク回避の円高が再燃している。

今週は17-18日のEU首脳会議に向けた、欧州内での危機対応の進展が焦点となる。

最近の市場混乱が「危機バネ」となる形で、金融機関の資本増強策や公的資金の注入整備、あるいは欧州安定化基金(EFSF)の規模と機能拡充、ユーロ共同債構想などが具体化されてくると、改めてリスク回避の後退を促す。

その場合はリスク回避相場の巻き戻しにより、ユーロなどの欧州通貨、豪ドルなどの資源国通貨の反発を支援。

こうした通貨に対してドルと円が売られることで、クロス円では円安、ドル/円では横這いか、ややドル安という展開となる。

反対に欧州債務金融問題の深刻さやギリシャのデフォルト(債務不履行)リスクが改めて確認されたり、欧州域内での意見対立が再露呈される可能性も消えていない。

欧州では政府や金融機関に対する格下げも相次いでおり、こうした悪材料が出てくると、欧州通貨や資源国通貨の戻り売り、対円以外でのドル高、クロス円主導での円高という流れに逆戻りしていく。

もっとも9月から前週までの市場混乱により、欧州危機や世界減速など複合的なリスクに対する織り込みも進展してきた。

その間に米国では経済指標の改善が続出。

一方では資源下落が世界的なインフレを後退させ、英国中銀の追加量的緩和や欧州中銀(ECB)の利上げ封印と資金供給の強化といった緩和策をあぶり出している。

資源国や新興国でも、利下げ転換の地ならしが見られ始めた。

今週は中国が連休明けとなるが、中国でもインフレ後退の兆しが見えると先行きの金融緩和への転換が意識される。

14日の中国経済指標に注目が集まりそうだ。

各国の利下げ転換は「高金利通貨国との金利差縮小」により、利下げ余地が限られている円やドルを相対的に強くさせやすい。

その反面、世界の景気や株価を下支えすることで、リスク回避の後退が過度な円高の揺り戻しによる円全面安を招く側面もある。

テクニカルで注目されるのは、米国の2年債金利の動向だ。

日足・一目均衡表では強力な上限抵抗ラインとなってきた雲の下限を上抜けつつある。

このまま雲の下限を定着できれば、金利の低下トレンドが一服。

当座の2年債金利の下限フロアが固まることで、ドル/円もドルの下値リスク減退と緩やかな基盤固めが明確化していく。

一方のクロス円は5日移動平均線の動向に神経質となる展開。

5日線の上抜けや5日線の方向性が上向き化してくれば、5日線を下値メドとした外貨の押し目買い(円の戻り売り)が定着していく。

反対に5日線の下抜けや下向きに逆戻りしていくと、5日線を上値メドとした戻り売りと外貨の下攻め(円高模索)が意識されるだろう。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<10日・月>
09:30 豪9月求人広告件数
(13日の雇用指標の参考に。資源下落や中国減速などでの悪化警戒)
17:30 ユーロ圏10月投資家信頼感指数
(債務金融不安や世界減速などで低迷濃厚)
19:00 主要国8月景気先行指数[OECD]
(世界経済の減速の角度と減速の期間予測の参考に)
日 体育の日
米 コロンブス・デー[為替、債券市場は休場、株式市場は通常取引]

<11日・火>
09:30 豪9月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(豪州の指標は悪化傾向。豪ドル自律反発の持続性を左右)
17:30 英8月鉱工業生産
(英国の8月指標は低迷が相次ぐ。一定の悪化は織り込み済み)
21:15 加9月住宅着工件数
(カナダの指標は悪化傾向。カナダ・ドル自律反発の持続性を左右)
27:00 米連邦公開市場委員会[FOMC]議事録[9月20、21日開催分]
(景気見通しの慎重姿勢がドル安やリスク回避の円高要因。次なる緩和手段のヒントでも注目)

<12日・水>
08:50 日8月機械受注統計
(円高や世界減速での下振れ警戒。日本の株安とリスク回避の円高要因に)
09:30 豪8月住宅ローン約定件数、8月投資貸付
(豪州の指標は悪化傾向。豪ドル自律反発の持続性を左右)
17:30 英9月雇用統計
(若者デモなど英国の雇用は深刻。一定の悪化は織り込まれる)
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
(欧州の8月指標は低迷が相次ぐ。一定の悪化は織り込み済み)

<13日・木>
09:30 豪9月雇用統計
(米中減速や欧州債務懸念、資源下落などで豪州の指標は悪化傾向)
11:00 中国9月貿易収支
(輸出は外需、輸入は内需の現状を示す。世界と中国経済への過度な悲観修正が焦点)
21:30 米8月貿易収支
(資源下落が輸入減を通じて赤字を抑制。需給面でドルを下支え)
21:30 米新規失業保険申請件数
(年末商戦に向けた臨時雇用の規模に注目が集まる)

<14日・金>
11:00 中国9月消費者物価指数
(商品下落による上昇一服が焦点。インフレ緩和の兆しがあればリスク回避の後退に作用)
21:30 米9月小売売上高
(既存店売上高は予想を上回る改善。8月の自然災害の反動も上振れ要因)
22:55 米10月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(ガソリン下落や緩やかな雇用の復調による反動改善に注目が集まる)


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U3

ユーロ発の世界恐慌ってあり得るのでしょうか。
by U3 (2011-10-09 19:33) 

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