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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週10月24-28日週の為替相場は、欧州債務問題を巡る一喜一憂が続く。

リスク回避の欧州通貨安・資源国通貨安と、リスク選好のドル全面安が交互に襲来する形での円高持続と、欧州不安の一服によるリスク選好の円全面安が焦点となる。

前週末の21日NY市場ではドル全面安が加速した。

26日のEU首脳会談に向けて、欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充安で意見が対立してきた独仏が歩み寄るという観測や、イエレン米FRB副議長による追加金融緩和の示唆などにより、米国株が大きく上昇。

リスク選好のドル売りが強まり、ドル/円は戦後のドル最安値を更新する場面が見られた。

このまま欧州不安が後退すると、ユーロ安一服と入れ替わる形でのドル安再燃が警戒されやすい。

もっともリスク回避の後退は、安全逃避で買われてきた米国債の売り戻しに作用し、米国債金利は緩やかに上昇する。

ドル/円ではドルの下支え要因となるものだ。

さらに独英など世界の国債金利も上昇するため、金利差面ではドル/円、クロス円ともに円安要因となる可能性を秘めている。

リスク回避の後退とあいまって、クロス円主導での円全面安の可能性も残されている。

加えて今週からドル/円主導の円全面高が激化するようなら、27日の日銀金融政策決定会合が意識されやすい。

政府の円高対策への協調や、政府の大型補正予算案の効果を帳消しにしないためにも、円高阻止に向けた追加緩和措置が想定されるだろう。

もっとも欧州問題は26日まで予断の許さない展開が続く。

このまま危機対応が進捗しても根強いギリシャのデフォルト(債務不履行問題)や欧州の景気後退リスクなどにより、26日の首脳会議以降には「材料出尽くし」や「失望」によるユーロ安やリスク回避の円全面高の加速シナリオも排除できない。

その他、材料面では米国の経済指標や決算発表が焦点となる。

米国の指標は26日の耐久財受注や新築住宅販売は低迷、27日の7-9月期GDPや28日の個人支出は改善が見込まれるなど、一喜一憂の展開に変わりはない。

さらに今週は25日にカナダ、27日のNZで中銀の政策会合が開催されるが、それぞれ利上げ慎重姿勢が単発的な各通貨の下落リスクとして警戒されそうだ。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに、日足・一目均衡表の先行スパンの「雲の下限」に上値を抑えられている。

このまま上値を抑えられる形で、外貨の戻り売り(円買い)と外貨の下攻め(円高)が本格化していくか。

あるいは雲の下限の上抜けと同ラインでの外貨値固めを経て、雲の上限やその上をトライしていくか。

重要な分岐点に直面している。

ちなみにリスク回避の尺度となる米国株のNYダウは、前週末に「雲の上限」を上抜けてきた。

このまま定着できれば、リスク回避の後退によるクロス円主導の円安余地も残されている。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<24日・月>
08:50 日9月貿易収支[通関統計]
(輸出頭打ちと輸入の増加による黒字減少が先行き円高を抑制)
11:30 中国10月HSBC製造業PMI[速報]
(資源下落や米国指標の改善などが過度な減速とリスク回避を抑制)
16:30 独10月製造業PMI/非製造業PMI[暫定値]
17:00 ユーロ圏10月製造業PMI/非製造業PMI/総合PMI[暫定値]
(ドイツの10月IFO景況指数は懸念ほど悪化せず。ユーロ安や資源安などが下支え)
米決算 キャタピラー[20:30]
(中国減速に対する先行き判断が焦点。資源国通貨を左右)

<25日・火>
06:45 NZ・7-9月期消費者物価指数
(資源下落や世界減速により、物価の上昇圧力は一服。NZドルの上値抑制)
14:30 インド中銀 政策金利発表
(インフレより景気減速配慮へ修正なら、緩和期待がリスク選好の材料に)
22:00 カナダ中銀、政策金利発表
(世界減速や資源下落によるインフレ抑制で利上げ後退。先行きの緩和示唆ならカナダ・ドルは下落)
22:00 米8月S&Pケースシラー住宅価格指数
(8月の住宅指標は総じて低迷。9月以降の指標が改善しており、悪化でも影響限定)
23:00 米10月消費者信頼感指数
(雇用指標の小幅な改善やガソリン下落などが下支え要因に)

<26日・水>
07:00 ユンケル・ユーログループ議長、講演[チューリッヒ]
(26日はEU首脳会議の予定。同日までの危機対応の進展次第で発言に注目が集まる)
09:30 豪7-9月期消費者物価指数
(資源下落や世界減速などで物価の上昇は一服。利上げ後退が豪ドルの上値抑制)
16:30 ドラギ・イタリア中銀総裁、トレモンティ財務相、講演
(26日はEU首脳会議の予定。同日までの危機対応の進展次第で発言に注目が集まる)
21:30 米9月耐久財受注
(ISM製造業景況指数の「新規受注」は前月比で横這い。航空機受注の減少が下振れ波乱)
23:00 米9月新築住宅販売件数
(中古販売は改善するなど、最近の住宅指標は下げ止まり。新築は価格の高さがネック)

<27日・木>
05:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(欧州債務不安や世界減速などで景気に慎重見通しも。NZドルの弱材料に)
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
(会合までに円高・株安が激化なら、追加緩和の地ならし思惑も。現状維持なら失望円高)
18:00 ユーロ圏10月消費者信頼感[確報]、鉱工業信頼感、業況判断指数
(債務金融危機が重石も、ユーロ安や資源安が下支え。一定の悪化は織り込まれる)
21:30 米新規失業保険申請件数
(年末商戦に向けた雇用確保に注目が集まる)
21:30 米7-9月期GDP[速報値]
(日本の震災被害の余波の反動や個人消費の底堅さ、輸出堅調などが上振れ要因)
23:00 米9月中古住宅販売成約指数
(最近の住宅指標は改善。ローン金利の低下や住宅価格の下落などが底割れを抑制)

<28日・金>
08:50 日9月鉱工業生産[速報]
(震災後の反動リバウンド一巡や地デジ切り替え需要の剥落、世界減速などで下押し警戒)
21:30 米9月個人所得/個人支出
(小売売上高は健闘。自動車販売などが改善を保つ。前月の自然災害の反動改善も)
22:55 米10月ミシガン大学消費者信頼感指数[確報]
(雇用指標の小幅改善やガソリン下落などが下支え。急激な株安一服も景況心理の悪化歯止め)


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