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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週11月14-18日週の為替相場は、根強い欧州債務不安によるユーロ安やリスク回避の円全面高、欧州不安一服や米国の指標改善によるリスク選好のドル全面安とクロス円での円安の綱引き相場が想定される。

前週末11日の海外市場ではドルが全面安。

イタリアやギリシャで新政権への動きが進展してきたほか、イタリア下院での緊縮法案の成立、米国のミシガン大学消費者信頼感指数の改善などを受けて、リスク選好による米国株の大幅高、対ドル、対円での欧州通貨や資源国通貨の上昇、ドル全面安、クロス円での円安が進展した。

同時にAPEC財務相会合で「通貨安競争の阻止」や「為替相場の弾力化」が合意されたことで、日本の当局の介入が困難になるという思惑もドル安・円高材料となった。

欧州情勢には不透明感が強く、今週も情勢改善によるリスク選好、情勢悪化によるリスク回避に一喜一憂の展開が続く。

一方でリスク選好となれば米FRBの先行き追加緩和観測とあいまって、ドル安が持続されかねない。

ドル/円でのドル安・円高が、リスク選好によるクロス円での円安を阻害するリスクも残る。

その中で今週に米国では重要な経済指標が相次ぐ。

前週の米国指標は改善が目立っており、2番底懸念を払拭させる数字が相次ぐと、当初はリスク選好のドル安を後押ししやすい。

もっとも米国の指標改善は、過度な量的緩和第三弾(QE3)への期待感を後退させるものだ。

指標の強さ次第では、ドル高とリスク選好の円全面安に移行する潜在余地も残されている。

もちろん、改めて米国の指標が伸び悩んだり、欧州不安が再燃すると、リスク回避の欧州通貨安、資源通貨安、ドル全面高、クロス円の円高、ドル/円は横這いという展開に逆戻りするだろう。

さらに15-16日には日銀の金融政策決定会合が予定されている。

会合までは、追加緩和を催促するような円高仕掛けが警戒される。

さらに実際の会合で現状維持となれば失望の円高。

反対に会合直前までに円高・株安が激化しているようなら、追加の緩和措置が円高に歯止めを掛ける可能性も消えていない。

一方、為替需給面では前週に米国の貿易赤字が大きく減少した。

かたや日本では貿易黒字の減少傾向が続いている。

米国はドル安などで着実に輸出が増加している反面、日本は円高などで輸出の低迷が目立ち始めた。

そうした中で米国では年末決算にかけて、輸出企業や多国籍企業による海外収益の本国送金がドルの下支え要因となりやすい。

かたや日本では中長期的に輸出の減少が円高・ドル安の圧力を和らげていく可能性も残されている。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに21日移動平均線や25日線を意識した神経質な展開となる。

このまま21日線や25日線を完全に割り込み、両ラインの方向も下向き化が定着してくると、21日線や25日線を上値メドとした外貨の戻り売り(円買い)。

反対に両ラインを持続的に上抜けたり、方向性が上向きとなれば21日線や25日線を下値メドとした外貨の押し目買い(円売り)という展開が想定される。



経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<14日・月>
06:45 NZ・7-9月期小売売上高指数
(改めて低迷となると、NZドルの調整売り材料に)
08:50 日7-9月期GDP[1次速報値]
(震災の反動などで堅調な見通し。リスク選好の円安と日銀の追加緩和後退の円高の両にらみ)
19:00 ユーロ圏9月鉱工業生産
(9月は欧州で債務金融危機が加速。下振れに警戒感)
20:00 OECD9月景気先行指数
(世界経済の重要な先行指標。減速の深度の度合いや期間を探る参考に)

<15日・火>
09:30 豪中銀、議事録公表[11月]
(景気の慎重判断やインフレの安定見通しが豪ドルの上値を抑制)
15:30 仏7-9月期GDP[速報]
16:00 独7-9月期GDP[速報]
(成長鈍化がECBの追加金融緩和観測を後押し。ユーロの戻り売り材料に)
19:00 独11月ZEW景況感指数
(欧州債務金融危機の影響焦点。一定の悪化は織り込まれる)
22:00 エバンス・シカゴ連銀総裁、講演[NY]
22:30 米10月小売売上高
22:30 米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(最近の米国の指標は懸念ほどには悪化せず)

<16日・水>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
(会合前は追加緩和催促の円高警戒。現状維持なら失望の円高。追加緩和なら円高歯止め)
18:30 英10月雇用統計
(欧州危機や緊縮財政などで低迷。追加量的緩和の思惑がポンドの戻り売り要因に)
19:30 英中銀、四半期インフレ報告
(インフレは落ち着きも、景気見通しは悪化。2月にかけての追加緩和余地が残る)
22:30 米10月消費者物価指数
(今春までの資源高やドル安の累積効果や新興国の物価上昇などで下げ止まり。FRBの大幅緩和を抑制)
23:15 米10月鉱工業生産
(自動車生産などが底堅さ。ただし、前月までの改善の反動減に警戒も)
24:00 米11月NAHB住宅市場指数
(米国の住宅市場は緩やかな下げ止まり。底入れが明確化するとドルをサポート)

<17日・木>
06:00 スティーブンス豪中銀総裁、講演[シドニー]
(講演直前の豪ドルの水準次第で影響も。調整の豪ドル買い、豪ドル売りの両リスク)
18:30 英10月小売売上高
(欧州債務危機や財政緊縮などで英国の指標は低迷)
22:30 米10月住宅着工件数
(前月は集合住宅の特殊な増加で上振れ。反動減に警戒感)
22:30 米10月建設許可件数
(住宅市場の先行指標。ローン金利の低下や住宅価格下落が下支え要因)
24:00 米11月フィラデルフィア連銀景況指数
(米国の株安一服や資源下落、FRBの追加緩和期待などが下げ止まりを支援も)

<18日・金>
16:00 独10月生産者物価指数
(物価の下落が明確化してくると、ECBの追加利下げの余地。ユーロの戻り売り要因に)
22:15 タドリー・ニューヨーク連銀総裁、講演[NY]
(追加量的緩和の支持派。緩和地ならしのドル安、失望のドル高の両にらみ)



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