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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週1月16日-20日週の為替相場は、根強いユーロ安とユーロ/円が主導するリスク回避の円高、それに対する市場の抵抗力の高まりを受けた反動調整的な円安をにらんだ展開となる。

前週末13日のNY市場ではユーロ安が再燃。

S&Pによるユーロ圏主要国の格下げ観測と実際の格下げなどが重石となった。

引き続きユーロには他の格付け機関による格下げ、ギリシャ政府と民間金融機関の債務再編交渉の不透明感、1-3月の国債と金融債の大量償還、ECBによる利下げ観測、欧州の景気後退リスクなどがあり、先安見通しは消えていない。

一方で13日は格下げ騒動でも米国株の下げ幅は限られており、一定の織り込みは進展してきた。

根強い欧州危機に対して、米国の指標改善、中国の緩和期待と月末からの旧正月による消費需要、日本の復興需要の緩やかな顕在化といったプラス要因もあり、過度なリスク回避は抑制されつつある。

円全面高のエネルギー自体は後退してきた。

その中で今週は米独中の経済指標、米国企業の決算発表、欧州での国債入札と首脳会議、G20財務相代理会合などが注目ポイントになる。

日替わりメニューの形で欧州不安などによるリスク回避の円高と、過度な悲観後退によるリスク選好の円安に振れる上下動が続きそうだ。

中長期のスパンで円相場については、2-3月に向けた日本企業の決算対策が注目点となっている。

例年、海外収益の円転や外貨建て資産の取り崩しなどで円高(本国回帰=リパトリエーション)が強まりやすく、次なる円高波乱のテーマして視界に入り始めた。

一方で期末円高を乗り越えると、秋の米大統領選に向けた米国景気の本格回復期待や、欧州の国債償還ピークアウト、日本の経常黒字減少の明確化などにより、ドル安やユーロ安、円高の懸念が一段落していく。

こうした「潮目の変わり目」を意識しつつ、2-3月にかけては根強い円高と、4月以降の円安期待による先回り的な外貨の仕込み買いの綱引きが注目されそうだ。

同時に相場の常として、こうした先行きのトレンド転換が視界に入ってくると、市場テーマを「先食い」する形で外貨の下落局面での外貨下値拾い(円の高値圏での円戻り売り)が静かに盛り上がりを見せていく基調変化も無視できない。

なお、短期テクニカルではドル/円、クロス円(ユーロ/円以外)ともに、なかなか一方向のトレンドが見出しにくい。

NZドル/円は下値を切り上げているが、まだ持続性には警戒感が残されている。

引き続き日々、5日移動平均線、21日線、25日線と比較しての実勢レートの位置関係や、5日線、21日線、25日線などの方向性を吟味しつつ、匍匐(ほふく)前進のような慎重姿勢で新たな方向性を模索する展開が続きそうだ。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<16日・月>
08:50 日11月機械受注統計
(前月急減の反動増の度合い焦点。円高や世界減速懸念などで伸びは抑制)
09:30 豪11月住宅ローン約定件数、11月投資貸付、12月求人広告件数
(11月の住宅建設許可件数や新築住宅販売は改善)
14:30 日銀、地域経済動向[1月]公表
(景気ウォッチャー調査などは改善。追加緩和後退が円高、リスク選好が円安の両材料)
22:30 アルムニア欧州委員、講演[ブリュッセル]
(欧州債務金融危機への現状認識や新たな危機対応などが焦点)
米 休日[キング牧師誕生日]

<17日・火>
11:00 中国10-12月期GDP、12月鉱工業生産、12月小売売上高
(減速に警戒感。ただし、一定の悪化は織り込まれ、緩和転換に期待が高まる)
18:30 英12月消費者物価指数、英12月小売物価指数
(資源下落や景気減速でインフレ抑制。英中銀の追加緩和観測がポンドの戻り売り要因)
19:00 独1月ZEW景況感指数
(ユーロ安や米国経済の復調などが過度な下振れを抑制)
22:30 米1月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(雇用復調や株価の打たれ強さなどが景況マインドを支援。原油高や欧中不安が懸念材料)
23:00 カナダ中銀、政策金利発表
(欧州不安と米国の景気改善で景気判断が微妙に。緩和観測の後退はカナダ・ドルを下支え)
米決算発表 ウェルズ・ファーゴ[22:00]、シティグループ[22:00]
(13日JPモルガン決算は予想の範囲内も減益。決算発表直後に同社株は下落した)

<18日・水>
13:00 安住財務相、日本外国特派員協会で講演
(前週の日米財務相会合を受けた介入姿勢の変化焦点。影響なければ介入警戒感が再燃)
18:30 英12月雇用統計
(英国の雇用は低迷。年末商戦向け雇用が過度な下振れを抑制)
22:30 米12月生産者物価指数
(原油価格の上昇が小幅な上振れ要因。米国債金利の低下とドル安を抑制)
23:15 米12月鉱工業生産
(12月ISM製造業景況指数で「生産」は4月以来の高水準。自動車の急回復一服が懸念材料)
24:00 米1月NAHB住宅市場指数
(雇用復調や住宅ローン金利の大幅などで住宅市場は改善傾向)
米決算発表 ゴールドマン・サックス・グループ[22:00]など
(収益悪化に警戒も、一定の減益は織り込まれる)

<19日・木>
06:45 NZ・10-12月期消費者物価指数
09:00 NZ・1月ANZ消費者信頼感
(よほど落ち込まない限りはNZドルの押し目買いをサポート)
09:30 豪12月雇用統計
(年末商戦向けの臨時雇用などが下支え要因)
22:30 米新規失業保険申請件数
(年末商戦向け臨時雇用の剥落による減速=申請増加の度合い焦点)
22:30 米12月住宅着工件数
(先行指標の建設許可件数は改善。冬季の天候が不透明要因)
24:00 米1月フィラデルフィア連銀景況指数
(雇用復調や株価の打たれ強さなどが景況マインドを支援。原油高や欧中不安が懸念材料)
G20財務相代理会合[メキシコ市、20日まで]
(欧州債務金融危機や世界減速に対する協調焦点)
米決算発表 バンク・オブ・アメリカ[21:00]、モルガン・スタンレー[21:15]、アメリカン・エキスプレス、インテル、マイクロソフト、グーグル、AMR
(過去にはインテル決算を契機に利益確定売りが増加するケースも)

<20日・金>
08:00 メルケル独首相、サルコジ仏大統領、モンティ伊首相会談[ローマ]
(格下げを危機バネとした政策対応のスピードアップ焦点。失望リスクにも警戒)
16:00 独12月生産者物価指数
(物価の落ち着きがECBの追加緩和を支援。ユーロの戻り売り材料に)
18:30 英12月小売売上高
(前月悪化の反動や年末商戦などがサポート要因)
24:00 米12月中古住宅販売件数
(先行指標である中古住宅販売成約指数は11月に予想を上回る改善)
米決算発表 IBM[06:30]、ゼネラル・エレクトリック
(打たれ強さへの期待と週末前の材料出尽くし・利益確定売り警戒の両にらみ)


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