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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週3月11日-15日週の為替相場は、中長期的な円安トレンドの持続を前提としつつも、ドル/円での円安(ドル高)とユーロ/円やポンド/円などでの円高(欧州通貨安)圧力との綱引きとなりそうだ。

前週末8日にはドルが全面高。

米国の雇用統計や失業率が大幅に予想を上回ったほか、それに伴う米国債金利の上昇(債券価格は下落)がドル/円でもドルをサポートした。

しかし、ドル高と裏表により、対ドルでユーロ、ポンド、スイス・フランなどの欧州通貨や、豪ドル、NZドル、カナダ・ドルなどの資源国通貨が下落に転じている。

クロス円でもこうした通貨が連れ安となり(円高)、ドル/円主導の円安圧力が抑制されている。

引き続き今週は米国経済の回復や米国株の過去最高値更新に伴う「強いドル高」の本物具合いを見定める展開となりそうだ。

前週末には米雇用統計が改善したものの、それに伴う米国債金利の上昇とドル高、FRBの先行き量的緩和縮小の思惑などが米国株の上値を抑えた。

病み上がりの米国経済にとり、どこまで米国債金利の上昇とドル高に耐え得るかには疑心暗鬼も根強い。

米国の株高とドル高が並存できる「臨界点」を手探りで模索する流れが意識されるだろう。

米国の指標面では13日の小売売上高、15日のNY連銀製造業景気指数、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感指数などで、いずれも改善の期待感が強い。

経済ファンダメンタルズ面で、ドルをサポートするものだ。

もっともドル高は、対ドルで欧州通貨や資源国通貨を圧迫してしまう。

とくにユーロとポンドは追加の金融緩和観測が残されており、米FRBによる金融政策の当面の現状維持、あるいは先行きの緩和縮小との対比でドル高・ユーロ安・ポンド安という組み合わせが意識されやすい。

円相場はドル/円での円安と、クロス円での円高圧力という綱引き相場が続きそうだ。

ただし、円については4月以降の日銀新体制による緩和観測が、ドル/円、クロス円ともに円の戻り売り(外貨の押し目買い)要因として残る。

さらに3月後半からは、日本企業の決算対策に伴う海外収益の円転ピークアウトや、国内機関投資家による4月年度明けからの新規外債投資などが、円高後退と新たな外貨買い・円売り発生の思惑を生む。

さらに日本に関していえば、日経平均株価で1万2000円超え、TOPIXは1000ポイント超え、ドル/円は95円超えという各相場の重要な節目を突破してきた。

円安・株高の「第2ステージ入り」とレンジ上方修正が意識されるもので、ドル/円は調整円高を経ながらもまずは92.50-97.50円、続いて95.00-100.00円方向への基盤固めが注目されそうだ。

何より日本では、7月参院選にかけて株高持続の期待感が根強い。

日本で株高が続く限りは、リスク選好がクロス円での円高度合いを制御。

短期的にはジグザグの上下動を経ながらも、中長期スパンではドル/円でのドル高・円安がクロス円でも円安・外貨高方向に引っ張っていく可能性は消えていない。



経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<11日・月>
09:00 黒田日銀総裁候補への参議院所信聴取[議院運営委員会]
(すでに内容は織り込み済み。4月以降の緩和観測が円の戻り売りを支援)
16:00 独1月貿易収支、1月経常収支
(ユーロ高の影響焦点。黒字が減少に転じると需給面でもユーロ安圧力)
18:00 伊10-12月期GDP[確報]
(昨年後半の欧州経済は悪化。イタリアは政局不安も残る)

<12日・火>
08:50 日銀金融政策決定会合、議事要旨[2月13、14日分]
(無制限緩和の前倒しや長め国債買い入れなど「次の一手」のヒント焦点)
09:00 岩田、中曽日銀副総裁候補への参議院所信聴取[議院運営委員会]
(すでに内容は織り込み済み。参院では民主党が岩田氏に反対姿勢で厳しい質問も)
09:30 豪2月NAB企業景況感指数、2月NAB企業信頼感指数
(2月の豪州指標は回復傾向。ただし、中国の2月指標は伸び悩み)
16:00 独2月消費者物価指数[確報]
(ユーロ高や景気減速が物価を抑制。ECB利下げ観測がユーロを圧迫)
18:30 英1月鉱工業生産、1月製造業生産
(英国の生産は低迷。追加量的緩和の観測がポンドを圧迫)

<13日・水>
06:45 NZ2月食品価格指数
(内外景気の回復や資源反発などで物価下げ止まり。NZドルを下支え)
09:30 豪1月住宅ローン約定件数、1月投資貸付
(1月までは豪州の指標は低迷。住宅市場も調整局面に)
18:00 バイトマン独連銀総裁、講演[ケルン]
(追加利下げ反対でユーロ高是認のタカ派)
19:00 ユーロ圏1月鉱工業生産
(1月の欧州指標は総じて低迷。1月はユーロ高も重石に)
21:30 米2月小売売上高
(2月の既存店売上高は改善。雇用回復などが支援材料に)
周小川・中国人民銀行総裁が全国人民代表大会[全人代]で講演
(今年の景気見通しや金融政策のスタンスなどが焦点に)

<14日・木>
05:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(景気慎重見通しが後退ならNZドルを支援。通貨高牽制のリスクは残る)
09:30 豪2月雇用統計
(2月の求人広告件数は増加。前月の改善の反動悪化は警戒)
17:30 スイス中銀、政策金利発表
(ユーロ安再燃で通貨高阻止姿勢を改めて強化も)
21:30 加10-12月期設備稼働率、1月新築住宅価格指数
(カナダ中銀は利上げ姿勢を一段と後退。先行きの景気に慎重姿勢)
21:30 米10-12月期経常収支
(日本の経常赤字化と裏表で米国は赤字拡大に歯止め。中長期的にドルを支援)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週までに改善が続く。反動調整的な悪化は警戒)
EU首脳会議[15日まで]
(イタリアの政局混迷に対する評価や対応などが焦点に)

<15日・金>
19:00 ユーロ圏2月消費者物価指数[改定値]
(ユーロ高や景気減速が物価を抑制。ECBの追加利下げ観測がユーロを圧迫)
21:30 米2月消費者物価指数
(資源上げ渋り、ドル高、賃金低迷などがインフレ抑制。米株高とリスク選好の円安支援)
22:15 米2月鉱工業生産
(ISM製造業指数の生産は2月に大幅改善。住宅や雇用などの内需回復が支援材料に)
22:55 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(雇用回復や株高などが消費マインドに追い風。歳出削減やガソリン上昇は懸念材料)
EU首脳会議[最終日]
イタリア新議会、招集
(イタリアは連立協議が難航なら議会再選挙の可能性も残る)



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