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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週6月8日-12日週の為替相場は、ドル高地合いの持続とスピード調整、ユーロの方向性模索、資源国通貨(豪ドル、NZドル、カナダ・ドルなど)の下落の行方、ポンド/円でのポンドの上値余地などをにらんだ展開となる。

ドル/円の週足テクニカルでは、一目均衡表の転換線122.18円、基準線120.71円(いずれも先行きは切り上がりへ)からの上方乖離が拡大してきた。

両ラインともに方向性は上向きを維持しており、中長期スパンでのドル高トレンドが明確化されている。

一方で短期的には、ドル高に過熱警戒感が高まってきた。

先行き転換線や基準線などからの上方乖離状態を修正する「価格調整」のドル安、あるいは現状レベルで横這い化へと移行し、これから転換線や基準線が実勢レートの方向まで切り上がるのを待つ「日柄調整」のレンジ相場入りの可能性が注視されるだろう。

その中で前週末の米5月雇用統計は、予想を上回る改善となった。

改めて米FRBによる9月利上げが焦点になっているほか、来年1月以降の利上げ継続も織り込む展開となりつつある。

中長期スパンでドル/円は、「ドルが下がれば買い」という押し目買い地合いが後押しされている。

もっとも米国の景気回復と利上げ観測は、米10年債金利の上昇(債券価格は下落)を促している。

前週はユーロ圏の物価指標上昇や、ECB理事会でのドラギ総裁が「市場はボラティリティーの増大に慣れるべき」、「市場の変動に応じて金融政策スタンスを変更することはない」 などと発言したことで、ドイツの国債金利が急上昇(債券価格は急落)した。

これまた米国債金利の押し上げに寄与している。

前週は米債金利の上昇がドル高、独債金利の上昇がユーロ高材料となる場面があった。

しかし、金利上昇は欧米の株価や景気の回復を圧迫。

今週以降は米独金利の上昇による欧米株安や日本への株安伝播が、ドル/円、クロス円で短期調整的な「リスク回避の円高」に作用する局面にも注意が必要。

今週も焦点は米国債金利上昇の行方となるが、長期金利の上昇は米国の銀行に対し、貸出などでの「利ザヤ」を改善させる収益プラス要因となる。

米国の保険会社や年金などでも、長期国債運用では支援材料となるものだ。

前週の米国株市場では、米債金利の上昇とドル高という株安材料の中でも、銀行株や保険株は打たれ強さを見せた。

今後は基本的な米国経済の基礎体力の回復や、金融危機からの7年経過を経た金融経済の正常化による「利上げやドル高への抵抗力増強」と「内需主導の持続的な成長軌道入り」が、ドル高の上値余地判断で注視されていく。

一方、ユーロは引き続きギリシャ問題が重石となる。

ギリシャ支援交渉の期限が6月末に迫るなか、支援の引き換えに構造改革を迫るEUは前週、財政健全化の目標を一部緩めることを認めるなど妥協案を提示した。

ギリシャは今月期限を迎えるIMF向けの債務を一本化し、月末の一括返済に切り替えている。

それでも構造改革などで意見対立があり、6月末にかけては、日々のニュースで「交渉進展期待によるユーロ高」と「交渉決裂リスクによるユーロ安」で乱高下する不安定さが続きそうだ。

ドル高やユーロ下げ止まりと裏表で、円安のほか、資源国通貨(豪ドルやNZドル、カナダ・ドル)の対ドル、対ユーロでの下落圧力が目立っている。

対円でも上値抑制要因となるものだ。

今週は11日にNZ中銀の金融政策委員会が控えており、万一の利下げリスクや、先行きの利下げ示唆、NZドル高の牽制強化などが、NZドルの下落材料として警戒されやすい。

その他、今週は資源国通貨に影響を及ぼす中国の経済指標や、豪州やカナダ自身の経済指標も相次ぐ。

こうしたイベントに一喜一憂しながら、戻り売り地合いの継続と、一旦の下げ止まりを模索する展開となりそうだ。


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経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<8日・月>
08:50 日4月国際収支統計
(輸出復調や資源高の一服などで黒字回復傾向。先行き円安を抑制も)
08:50 日1-3月期GDP統計[二次速報]
(設備投資の改善などで上方修正の余地。リスク選好の円安地合い支援)
15:00 独4月鉱工業生産
(4月まではユーロ安や量的緩和、長期金利の低下などで改善傾向)
21:15 加5月住宅着工件数
21:30 加4月住宅建設許可
(カナダの4月住宅着工や中古住宅販売は伸び悩み)
23:00 米5月労働市場情勢指数[LMCI]
23:00 米5月雇用トレンド指数
(週間の新規失業保険申請件数は、4週平均ベースで15年ぶり低水準に改善)
時間未定 中国5月貿易収支
(欧米や日本などの経済回復による輸出の持ち直し焦点。輸入は不動産下落などが重石)

<9日・火>
10:30 豪5月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(利下げや豪ドル安、資源下げ止まりなどで豪州経済は下げ止まり傾向)
10:30 中国5月消費者物価指数
(根強い物価下落圧力が示されると、デフレ懸念の一方で緩和期待も)
23:00 米4月雇用動態調査[JOLT]
(週間の新規失業保険申請件数は、4週平均ベースで15年ぶり低水準に改善)
26:00 米財務省3年債入札
(利上げ警戒などで入札低調なら、金利上昇とドル高に)

<10日・水>
08:50 日4月機械受注
(設備投資の改善示唆なら、株高・円安地合いを支援)
11:50 スティーブンス豪中銀総裁、講演
(先行き利下げ示唆や豪ドル安志向が継続なら豪ドル安に)
17:30 英4月鉱工業生産、製造業生産
(金利低下や欧米経済の復調などが支援材料に)
23:30 EIA週間石油在庫統計
(夏季に向けた在庫減少が見られると、原油高と資源国通貨高を支援)
26:00 米財務省10年債入札
(利上げ警戒などで入札低調なら、金利上昇とドル高に)
英財務相、中銀総裁がマンションハウス・スピーチ
(先行きの景気回復や利上げが示唆されると、ポンド高を支援)

<11日・木>
06:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
06:05 ウィーラーNZ中銀総裁、記者会見
(会合前は利下げ思惑がNZドル安材料に。見送りならNZドル高も利下げ示唆は警戒)
10:30 豪5月雇用統計
(前月悪化の反動改善焦点。5月は製造業や建設業の景況指数も改善)
14:30 中国5月小売売上高、鉱工業生産
(緩和強化でも不動産下落や過剰生産供給、地方自治体の債務問題が重石)
21:30 米5月小売売上高
(5月の自動車販売は約10年ぶりの高水準。雇用の質改善などが支援材料に)
21:30 米新規失業保険申請件数
(改善傾向の持続と反動悪化をにらむ)
22:30 ラウテンシュレーガーECB理事、オランダ議会で証言
26:00 米財務省30年債入札
(利上げ警戒などで入札低調なら、金利上昇とドル高に)

<12日・金>
07:45 NZ5月食品価格指数
(資源安とNZドル高の一服で下げ止まりなら、NZドルを支援)
17:30 英4月建設支出
(英国は都市部で住宅市場に過熱感も)
18:00 ユーロ圏4月鉱工業生産
(4月まではユーロ安や量的緩和、長期金利の低下などで改善傾向)
21:30 米5月生産者物価指数
(原油反発や雇用改善などで下げ止まりなら、米債金利の上昇とドル高を支援)
23:00 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(雇用の質改善や株価の高値推移、金利上昇前の駆け込み消費などがプラス要因)


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