来週の為替相場展望

来週の為替相場はドル全面安から円全面高への本格移行と、日本の経済ファンダメンタルズとの見合いでの円高の限度（臨界点）を試しに行く展開が続きそうだ。

ドルに関しては先安リスクが根強いものの、対円以外では上昇ペースが鈍化してきた。
テクニカルやポジション面でドル安に過熱感が見られる他,来週は
・ISM指数や雇用統計などの上振れリスク
・米指標が悪化した場合のリスク回避のドル買い
・四半期末のドル買い需要
・10月7日からの米国企業の決算発表に向けた米国株の戻り売りモード（ドルキャリー取引の巻き戻し）などにより、短期的なドルの下げ止まりが焦点となる。

一方でドルの反発は、対ドルでの欧州通貨や資源国通貨の押し下げに作用。
クロス円でこうした外貨が続落する。
世界的な株高や原油高の過熱調整とあいまって、リスク回避の円全面高を助長させる可能性が消えていない。

当面のテクニカルな外貨の下値メドは、ドル/円で年初来の安値87円、クロス円で100日移動平均線や200日線などとなっている。

同時に鳩山政権の円高是認姿勢も、海外投機筋による円買いに安心感を付与している。
もっとも海外勢にはこのまま円高が一段と加速した場合
・日本の製造業の海外移転が加速する
・国内で設備投資や雇用が伸びないほか、円高デフレが激化していく
・海外勢の日本株離れや経常黒字の減少が進む
・経常赤字に転落した場合、巨額な財政赤字のファイナンスの懸念が一気に表面化する
・日銀の出口戦略は世界で最も遅くなる、といったリスクを警戒する声も多い。

その結果、円高が日本の体力見合いで臨界点に到達すると、その後は中長期スパンで反動的な円急落を招くという展開も想定されている。

来週の注目イベントは以下の通り（時間は日本時間）

＜28日・月＞
08:15　スティーブンス豪中銀総裁、上院委員会で証言
（利上げの時期や豪ドル高の牽制などが焦点）
13:35　ヘンリー豪財務次官、上院で証言
（豪ドル高と豪中銀の利上げ地ならしへの牽制焦点）
28:40　カーニー・カナダ中銀総裁、講演
（通貨高の牽制と日本に続く通貨高の是認が焦点）
時間未定
独9月消費者物価指数[速報]（資源高などで上振れなら、追加緩和策の思惑が後退へ）

＜29日・火＞
08:30　日消費者物価指数[全国8月と東京都区部9月中旬]
（前年の原油高の反動下落が剥落したあとのデフレの実状焦点）
17:30　英4-6月期国内総生産[確報]
17:30　英8月消費者信用残高
17:30　英8月住宅ローン承認件数
（いずれも伸び悩みならポンド全面安の地合いを助長）
18:00　ユーロ圏9月業況判断指数
（伸び悩みならユーロの利益確定売りを助長）
23:00　米9月消費者信頼感指数
（伸び悩みの場合はリスク回避のドル買い戻しに）

＜30日・水＞
08:50　日8月鉱工業生産[速報]
（予測指数で内外景気対策の息切れが見られるかが焦点）
10:30　豪8月小売売上高
（伸び悩みの場合が豪ドルの利益確定売りのリスクに）
16:45以降　Eurofi金融フォーラム・パネル討論にECB幹部が相次いで参加[スウェーデン]
（出口戦略やユーロ高の是認に関する発言などが材料にも）
21:15　米9月ADP雇用統計
（週間の新規失業保険申請件数は緩やかな改善傾向）
25:30　コーンFRB副議長、ワシントンで出口戦略について講演
（出口に踏み込んだ発言が出れば株安・ドル高、慎重発言なら株高・ドル安）

＜1日・木＞
08:50　企業短期経済観測調査[日銀短観9月調査]
（一定の改善は織り込み。予測の伸び悩みが株安・円高リスク）
10:00　中国9月製造業購買担当者指数
（過熱抑制策で鈍化なら原油安・資源通貨安や株安・円高にも）
18:00　ユーロ圏8月失業率
（ユーロの好材料は織り込み進む。伸び悩みの場合がリスク）
21:30　米8月個人所得／個人支出
（自動車支援策の効果以外でも最近の米小売統計は改善）
22:00　バーナンキFRB議長、金融規制について下院金融委員会で証言
23:00　米9月ISM製造業景況指数
（伸び悩みの場合が株安・ドル高のリスクに。大幅改善なら株高・円安にも）
EU27カ国財務相・中央銀行総裁非公式会議[EcoFin][スウェーデン、1-2日]
（出口戦略やユーロ高の是認・牽制発言が出れば材料に）
9月の決算期末日
（特殊なドル買いや円買い決済が発生も）

＜1日・金＞
08:30　日8月完全失業率
（過去最高での高止まりが円安リスク）
21:30　米9月雇用統計
（改善の場合は素直にドル高、悪化ならドル売りとリスク回避のドル買いの両リスク）

＜3日・土＞
ガイトナー米財務長官、G7[7カ国財務相・中央銀行総裁会議、イスタンブール]に出席