為替相場展望 [為替情報]
今週の為替相場は、根深いリスク回避の円全面高と週末G20会合などをにらんだ揺り戻しが焦点となる。
前週は中国当局によるユーロ債投資の見直し否定などにより、ユーロ安が主導する信用不安が一服する場面があった。
しかし、週末にはスペインの格下げがあるなど、地雷のような悪材料の群発リスクへの警戒感は根強い。
短期的に日米の株高、ユーロ高、円全面安が入っても、すぐに崩れてしまうという不安定さが残されている。
さらに欧州発の財政金融不安が、ジワリと実体経済にも悪影響を与え始めた。
ただでさえ、世界経済はリーマン・ショック後からの大規模な景気刺激策の息切れが警戒されつつある。
すでに米国では4月時点で景気先行指数が13カ月ぶりの前月比マイナスに転じており、信用不安が景気のV字回復(=株高とリスク選好の円安)をトレンドとしてピークアウトさせるという警戒感が高まってきた。
6月1日に予定される米国の重要先行指標・ISM製造業景況指数も、前月の6年ぶり高水準から低下の見通しとなっている。
また、1日の豪州中銀会合は利上げ見送りが予想される一方、1日にはカナダ中銀の利上げが見込まれているが、いずれも「正常化目的の利上げの終盤」の印象を与えるリスクも消えていない。
焦点は遅行指標である4日の5月米雇用統計の行方だ。
こちらは国勢調査員の増員などから大幅改善となる可能性がある。
先頭ランナーである先行指数の息切れに対し、遅行指数の雇用改善が景気を下支えすると、先行指数の調整的な下押し圧力を吸収。
雇用回復が生産や消費をサポートする循環回復の軌道が辛うじてつながり、米国を始めとした世界景気の失速懸念を払拭させる余地も残されている。
さらに5日にかけてはG20財務相・中央銀行総裁会議が迫ってきた。
各国が世界的な金融不安や景気の2番底回避のため、協調姿勢を打ち出すとリスク回避の揺り戻しによる日米株高と円全面安の展開が見込まれる。
その他、北朝鮮情勢の緊張緩和も、過度なリスク回避の後退要因として注目されそうだ。
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