今週の為替相場展望 [為替情報]
今週の為替相場は、日本政府の単独介入を受けた円全面安の持続性を見極める展開となる。
日本の介入には外国から批判が出ているほか、根強い欧米不安や日本のデフレ圧力などとあいまって、「効果は一時的」という見方が優勢になっている。
日本では9月期末に向けた輸出企業などの円転送金(ドル売りやユーロ売り)が20-24日にピークを迎えるため、前週の円急落の反動的な円高リスクは消えていない。
とくに20日や23日は東京市場が休場となる。
東京休場の薄商いを狙い、海外勢からトレンドを元に戻すような円高仕掛けの可能性も残されている。
一方で日本の当局は一回で2兆円近い介入を実施した。
サプライズのタイミングとあいまって「円高デフレ阻止への強いメッセージが伝わった」(欧州系銀行)と評価する声もある。
国際的な介入批判や財政危機の中での介入資金の効率活用を踏まえると、「介入は長期化できず、短期勝負で一気に円安トレンドへと転換させる」(通貨当局筋)という意気込みが聞かれる。
また、これまで頑なに量的緩和の効果を否定してきた日銀も、介入資金を吸収せずに放置する非不胎化介入に協力してきた。
日銀は9月期末の資金繰りに配慮し、月末にかけて当座預金残高を増加させる可能性が高い。
少なくとも9月末までは、日本の円高阻止策が円全面安の流れを後押しさせる。
日本の当局の次なる介入レベルとしては、95円前後、92-93円などが取り沙汰されている。
とくに経済産業省が8月27日に発表した円高の影響に関する 緊急調査によると、「1ドル=85円の円高」が継続した場合、製造業の4割が工場や開発拠点を海外に移転し、6割が海外での生産比率を拡大すると回答していた。
菅改造内閣は「有言実行内閣」として、円高デフレの阻止と雇用確保のための空洞化阻止を重点方針に掲げており、85円でのドルの下限(円の上限)固めと、まずは85-90円でのレンジ移行策が注目されよう。
その他、今週の注目は21日の米FOMC、21日からの米住宅指標、アイルランドなどユーロ圏での国債入札など。
潜在的にドル不安やユーロ不安はまだ根強い。
今週は新たな悪材料が出てくるか、あるいはこのまま「世界2番底懸念の後退」によって世界的な株高・資源高・円安・対円以外でのドル安というトレンドが固まるかの重要分岐点になってくる。
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