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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週5月9-13日週の為替相場は、ユーロ安の行方と根深いドル安の持続性を見極める展開となる。

前週後半はユーロが急落。

トリシェ欧州中銀(ECB)総裁が6月利上げの可能性を示唆しなかったほか、6日には独シュピーゲル誌が「ギリシャ政府はユーロ圏を離脱し、独自通貨を再導入する可能性を示唆した」と伝えた。

さらにユーロ圏財務相がギリシャの債務再編を含めて協議を行う緊急会合も報じられ、ユーロが下げ幅を早めている。

具体的な債務再編を見極める展開となるが、ギリシャが国債保有者に交渉し、償還日を延期するか償還額を減らすことになれば、保有者が損失を被ることになってしまう。

4月18日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙は「債務再編となれば、ギリシャに無謀な融資を行ってきた一部の銀行を抱える債権国、特にドイツに厳しい波及効果をもたらす」、「ギリシャが債務を再編すれば、アイルランドとポルトガルが同じ運命に向かっているという市場の予想が高まる」と警告を発していた。

昨年も5月からギリシャ債務危機が本格化。

リスク回避により、ユーロ/円の主導で円全面高を招いた経緯がある。

今年も危機が一段と拡大していくか、短期で収束するかを見極める神経質な展開となりそうだ。

かたやドルは前週末、4月雇用統計こそ改善したが、失業率が悪化したことで根強い戻り売りに押された。

FRBの低金利政策が長期化するという見方が強く、ドルの先安リスクは根強い。

ここに来てのユーロ安や世界減速懸念などによる資源下落は、対円以外でドルをサポートするものだ。

しかし、円相場は対ドルでのユーロや資源国通貨の下落がクロス円を圧迫(円高)。

クロス円主導による円高圧力がくすぶっている。

また、政策対応としてはユーロやドルの弱さによる円全面高となると、3月のような「円独歩高の阻止」を理由とした日本単独の介入や協調介入は難しい。

日銀の追加緩和など、介入以外の手段による円高阻止策が焦点となりそうだ。

もっとも昨年5月からの円全面高と異なり、今年は日本で貿易黒字が急減していく(=円高緩和)。

静岡・浜岡原発の停止要請により、製造業の拠点である中部地域の電力不足も懸念され始めた。

その中で円高が加速すると、企業の海外シフトが改めて誘発される。

空洞化が税収の減収や経常黒字の減少に拍車をかけ、日本の財政危機を深刻化させる「日本売り」のリスクも消えていない。

中長期的な円安要因として意識されるのだ。





なお、今週の注目イベントとしては、9-10日の米中戦略対話や11日の中国指標発表が、中国による人民元の切り上げや追加利上げの思惑を喚起、円高材料となりやすい。

また、米国では12日の小売売上高を始め、減速が懸念される4月指標の発表が本格化する。

根強いドル安リスクと、4月雇用統計のような「懸念ほどには悪くない指標」によるドル買い戻しを意識しながらの一喜一憂が続きそうだ。

テクニカル面ではドル/円、クロス円ともに、5日移動平均線や21日線などを上値抵抗線とした外貨の戻り売りとなっている。

こうした節目ラインを完全に上抜け回復したり、両ラインの方向性が上向き化してくる局面が、外貨反発(円安)への基調転換シグナルとして注目されるだろう。

経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<9日・月>
10:30 豪4月求人広告件数
(最新の雇用指標の参考に。前週の豪州中銀・四半期報告では、やや景気に強気の見通し)
15:00 独3月貿易収支/経常収支
(ユーロ高による黒字拡大の歯止めが、先行きの需給ユーロ安要因に)
21:15 加4月住宅着工件数
(4月のカナダ雇用指標は改善。住宅市場を下支えも)

<10日・火>
10:30 豪4月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(世界的に4月の景況感指数は成長ペースが鈍化)
21:30 米4月輸入物価指数
(資源高とドル安が物価の押し上げ要因。米債金利とドルを下支え)
時間未定 中国4月貿易収支
(輸出と輸入の減少で「世界減速」を再確認も。資源相場や資源通貨を圧迫)
米3年債の国債入札
(安全逃避の中で新規需要を確認なら米債金利の低下とドル安に。債務上限問題が不透明要因)

<11日・水>
11:00 中国4月消費者物価指数、小売売上高、鉱工業生産
(根強い物価上昇が追加利上げと人民元切り上げ加速の思惑を喚起。円高要因)
18:30 英中銀・四半期インフレ報告
(中長期的な物価の安定見通しが利上げ観測の後退とポンド安のリスク)
21:30 米3月貿易収支
(資源高や内需復調が輸入押し上げによる赤字の拡大要因。日本向け輸出の停滞も焦点)
米10年債の国債入札

<12日・木>
10:30 豪4月雇用統計
(前月改善の反動減が波乱。4月の豪指標では建設業指数などが鈍化)
17:30 英3月鉱工業生産
(前月の停滞の反動増が焦点。欧州経済の底堅さポンド安なども支援要因)
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
(3月の欧州生産指標は総じて底堅さ)
21:00 ノルウェー中銀、政策金利発表
(同日までは利上げ観測が北欧通貨を支援。利上げ決定後は利益確定売りも)
21:30 米4月生産者物価指数
(資源高やユーロ安が上振れ要因。米債金利やドルを下支え)
21:30 米4月小売売上高
(イースター商戦が例年より遅い4月後半となり、同月の消費を押し上げ)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週までは悪化が続く。ただし、4月の雇用統計は改善しており、反動改善が焦点に)
23:00 バーナンキ議長、上院銀行委員会の公聴会で証言
米30年債の国債入札
(安全逃避の中で新規需要を確認なら米債金利の低下とドル安に。債務上限問題が不透明要因)

<13日・金>
14:30 仏1-3月期国内総生産[速報]
15:00 独1-3月期国内総生産[速報]
18:00 ユーロ圏1-3月期国内総生産[速報]
(1-3月に欧州経済は底堅さ。資源高やユーロ高の影響が成長抑制)
17:00 トリシェECB総裁、講演[マドリッド]
(インフレや次回利上げ、債務再編問題などへの言及焦点)
21:30 米4月消費者物価指数
(コアベースの物価落ち着きが米債金利とドル安の要因に。資源高の影響が上振れ波乱)
22:55 米5月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(資源エネルギー・食料価格の高騰が鈍化要因。ビンラディン容疑者の死亡ニュースはプラスに)





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ケイ

ブログ再開しました。☆
by ケイ (2011-05-09 00:22) 

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