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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週5月16-20日週の為替相場は、リスク回避による円全面高の持続性と反転修正を見極める展開となる。

前週は「リスク回避」と「リスク選好」が日替わりで繰り返す不安定な展開が続いたが、週末にかけてはリスク回避による世界株安、資源安、欧州通貨安、資源通貨安と円高、対円以外でのドル高が進展した。

背景には新興国を中心とした利上げや資源高騰による世界経済の成長鈍化、欧州債務懸念、中国のインフレ昂進と引き締め強化への警戒感、米国の住宅・雇用低迷、地政学リスクなどがある。

同時に大きいのが、6月末に米FRBの追加量的緩和(QE2)の終了が迫ってきたことだ。

QE2は昨年8月後半に準備が始まって以降、グローバルな過剰流動性相場とドル調達キャリー取引を刺激。

リスク選好による世界的な株高、資源高、非ドル高、ドル全面安を加速させてきた。

同時に株高などの資産効果により、米国などの世界景気を表層的に押し上げてきた経緯がある。

6月末以降、FRBが一気にバランスシートを削減(=ドルのバラ撒き回収)するわけではないが、少なくとも洪水のようなドル放出の勢いは鈍化していく。

同時に6月末以降の米FOMCでは、会合のたびごとに「かなりの長期間、低金利を維持」という声明文言の削減論議や、FRBバランスシートの削減論議が警戒されることになる。

そうした先行き出口戦略への警戒感が、「QE2バブルのピークアウト」への懸念とあいまって、欧州通貨や資源国通貨の一旦の高値売り抜けやドルの安値圏での買い戻しを招いている構図だ。

引き続きドル/円ではドルが下支えされる反面、クロス円での円高・外貨安や、世界株安や資源安によるリスク回避の円全面高に神経質となる地合いが続く。

もっとも過剰流動性相場の下に隠れた世界経済のファンダメンタルズや、米国などの企業収益は着実に改善している。

過剰流動性の部分の「バブル」や「フロス(泡)」の調整剥落が進展していくと、リスク選好の過熱修正によるリスク回避にも歯止めが掛かる可能性が消えていない。

また、為替相場の需給面でいえば、日本の貿易黒字が急減してきた。

国内輸出企業によるドルなどの外貨戻り売りを減退させる一方、輸入企業による外貨の押し目買いを増加させていく。

さらに6月にかけてQE2の終了が本格的に織り込まれると、ドル安や米国債金利の低下に当座の底入れ感が浮上。

中長期投資として今後の「ドルの下落余地(金利の低下余地)」よりも来年にかけての「ドルの上昇余地(金利の上昇余地)」が着目される形で、国内の金融機関から慎重なペースで外債投資が拡大する余地が消えていない。

これも先行きの外貨押し目買い要因となるものだ。





今週のイベントとしては、日米独英の経済指標に一喜一憂する展開が続く。

米国の住宅指標は低迷不安が根強いものの、現在は過度に悲観論が台頭しているだけに、「懸念ほど悪くはない」という結果がリスク回避後退の波乱要因として注目されるだろう。

テクニカルでは、ドル/円、クロス円ともに、日足・一目均衡表の先行スパンの雲の上限や下限で踏みとどまるか。

あるいはこうした節目を完全に下抜けて下落がオーバーシュートするかの攻防が続く。

フィボナッチ分析でいえば、3月の外貨安値から4月高値の50.0%押しや61.8%押しの節目で下げ止まるかを見極める展開となりそうだ。

経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<16日・月>
08:50 日3月機械受注統計
(震災被害などで大幅な悪化。ただし織り込みは進展)
10:30 豪3月住宅ローン約定件数、投資貸付
(伸び悩みが豪ドルの続落リスク。改善でも短期豪ドル高のあとで戻り売りのリスク)
21:30 米5月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(最新5月指標の先頭バッター。資源高や日本からの部品供給停滞などで鈍化の懸念)
23:00 米5月NAHB住宅市場指数
(ローン金利の低下が下支え要因。週間の住宅ローン申請件数は改善傾向)

<17日・火>
10:30 豪中銀議事録[5月]
(欧州債務危機や日本の震災被害などで景気に慎重見通しが示される可能性も)
17:30 英4月消費者物価指数
(前週の英中銀インフレ報告では短期的な物価の上振れリスクを示唆)
18:00 独5月ZEW景況感指数
(資源高やユーロ高の累積効果により、成長ペースは鈍化へ)
21:30 米4月住宅着工件数
(先行指標となる許可件数は3月に反動改善)
22:15 米4月鉱工業生産
(高止まりが続くも、資源高や日本からの部品供給停滞が回復ペースの抑制リスク)

<18日・水>
07:45 NZ・1-3月期生産者物価
(物価の落ち着きが利上げ観測を後退させるリスク)
17:30 英中銀、金融政策委員会議事録[5月4、5日分]
(前週のインフレ報告では物価の上昇リスクが警戒され、短期的なポンド高を招く)
23:30 EIA週間石油在庫統計
(資源安・ドル高・クロス円の円高の持続性を左右)
27:00 FOMC議事録公表[4月26、27日分]
(金融緩和長期化への過度な楽観論が修正されるとドル高波乱)

<19日・木>
08:50 日1-3月期国内総生産[一次速報]
(震災被害などで下押し懸念、日銀の追加緩和への期待感が円高歯止めも)
14:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[20日まで]
21:30 米新規失業保険申請件数
(日本からの部品供給の停滞などを受けた特殊な悪化の反動が焦点)
23:00 米4月中古住宅販売件数
(先行指標の販売成約件数は3月に予想外の大幅改善)
23:00 米5月フィラデルフィア連銀景況指数
(資源高や日本からの部品供給停滞などで鈍化の懸念)

<20日・金>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
(会合直前の株価、為替相場が影響も。失望の円高と追加緩和による円安の両にらみ)
15:00 独4月生産者物価指数
(資源高などが物価の押し上げ要因。ECBの7月利上げをサポート)
20:00 加4月消費者物価指数
21:30 加3月小売売上高
(カナダの雇用指標などは改善傾向)
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感[暫定値]
(資源高・食料高や欧州債務懸念などが消費者心理の悪化材料に)





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