SSブログ

今週の為替相場展望 [為替情報]

今週3月12日-16日週の為替相場は、引き続きドル/円主導の円全面安の持続と調整円高、ユーロ安再燃のリスクなどを見極める展開となる。

前週末はドル/円でドル高・円安が進展。

米国の雇用統計が予想を上回ったほか、それに伴うFRBの早期金融緩和観測の後退により、米国債金利が上昇(債券価格は下落)したことなどが材料となった。

今週は米国債の入札、FRBが金融政策を協議するFOMC、米小売売上高や鉱工業生産、最新3月分の地区連銀製造業景況指数などが予定されている。

それぞれ改めて米国景気の回復が確認されたり、緩やかな米国債金利の上昇が後押しされると、ドル高・円安のトレンドが後押しされやすい。

FOMCに関しては前週、FRBが追加量的緩和(QE3)に備え、長期国債の買い入れを強化する一方、購入した資金は短期証券の発行によって吸収する「不胎化」の新型オペレーションを検討していることが明らかになった。

住宅市場テコ入れなどのための徹底した長期金利の押し下げ努力は、中長期的にドルの上値を抑えるものだ。

一方で「不胎化」による資金吸収はドルのダブつきを押さえ、原油高やインフレなどのリスクを防止する狙いがある。

FRBはこれまで「日本型デフレの回避」を最優先し、ドル安や原油高のリスクもいとわない量的緩和を強化させてきたが、秋に向けた大統領選挙や議会選挙への配慮もあり、微妙に軸足を「原油高・ガソリン高とインフレの抑制」へと移行させつつある。

長期金利の低位安定は促しつつも、ドル安・資源高の阻止姿勢が強まってきた。

すでに新型オペにより、短期債のほうは微妙に上昇するという見方も浮上している。

現在のドル/円は日米の2年債金利との相関性が高まっており、緩やかなドル高・円安トレンドがサポートされる可能性は捨てきれない。

もっとも前週末には、FRBの緩和期待の後退が米国株の上値を抑えた。

中国の減速懸念もあり、世界株高の調整下落によるリスク回避の円全面高はおりにふれて警戒されることになる。

さらにユーロ圏では前週、ギリシャの債務交換が実施された。

民間参加の上昇により、デフォルト(債務不履行)は回避されたものの、債務交換に応じなかった一部の民間投資家は強制的に国債元本が削減(カット)されている。

今後も続く巨額債務の交換の行方や、財政赤字国であるポルトガル、スペイン、イタリアなどに同様の債務削減(ヘアカット=民間投資家は損失負担)が広がることへの警戒感が高まっている。

前週末にユーロ/ドルではユーロが下落しており、ユーロ/円でのユーロ安・円高主導の円全面高の伝播にも常の注意を払う必要がありそうだ。

もっとも2007-2011年までの超円高と異なり、底流部分では円高圧力が減退してきた。

日本の経常黒字急減(1月は大幅赤字)、日銀による円高・デフレの阻止策強化、米国の雇用・住宅回復、原油高による世界的な通貨安競争への歯止め(通貨安はインフレ助長)、ユーロ圏での債務金融危機の拡散防止に備えた「防火壁」強化、中国の外需依存から内需重視の安定成長移行(強引な人民元安政策の後退)といった基調変化が見られている。

ドル/円、クロス円ともに長期トレンドとして外貨の戻り売り(円の押し目買い)から、外貨が下がれば買いという押し目買い(円の戻り売り)へとの潮流変化が注視されるだろう。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<12日・月>
08:50 日1月機械受注機械受注統計
(外需復調などによる輸出の持ち直しの参考に。輸出復活は円安ペースを抑制)
20:00 OECD主要国1月景気先行指数
(世界景気の循環底入れが確認されるかが焦点。リスク選好の円安持続を左右)
25:00 ユーロ圏財務相会合[ブリュッセル]
(ギリシャ追加支援や今後の債務交換問題を協議)

<13日・火>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
15:30 白川日銀総裁、記者会見
(成長分野融資の延長程度で基本は現状維持。一時的な失望円高と追加緩和示唆の場合の円安焦点)
09:30 豪1月住宅ローン約定件数、投資貸付、2月NAB企業景況感指数
(最近の豪州経済指標は悪化が目立つ。追加緩和観測も豪ドルの上値を抑制)
19:00 独3月ZEW景況感指数
(ユーロ安やECBの追加緩和などが下支え。原油高が懸念材料)
21:30 米2月小売売上高
(既存店売上は予想を上回る。暖冬や雇用改善などがプラス要因)
25:00 モンティ伊首相とメルケル独首相会談
(債務金融危機「防火壁」強化の協議焦点。進展期待と失望の両にらみ)
27:15 連邦公開市場委員会[FOMC]声明発表
(原油高や雇用改善を受けたインフレへの配慮焦点。追加の量的緩和後退がドル支援)

<14日・水>
09:30 豪月10-12月期住宅建設許可
(最近の豪州経済指標は悪化が目立つ。追加緩和観測も豪ドルの上値を抑制)
18:30 英2月雇用統計
(欧州債務危機の一服などで小幅改善の期待)
21:30 米2月輸入物価指数
(原油高による物価上昇への影響にらむ。米債金利の低下とドル安に歯止め)
21:30 米10-12月期経常収支
(輸出拡大などが経常赤字の減少支援。中長期的にドルをサポート)

<15日・木>
09:30 豪中銀、議事録公表
(追加緩和の示唆が豪ドル安材料。インフレ警戒や景気に前向き判断があると豪ドル高へ)
17:30 スイス中銀、政策金利発表
(通貨高阻止の姿勢堅持がスイス・フランの上値抑制)
21:30 米3月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(最新3月指標の先頭バッター。回復軌道の持続と原油高などによる伸び鈍化をにらむ)
21:30 米2月生産者物価指数
(原油高による物価上昇への影響にらむ。米債金利の低下とドル安に歯止め)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週から回復ペースが一服。資源高による採用抑制に警戒感も)
23:00 米3月フィラデルフィア連銀景況指数
(最新3月指標の先頭バッター。回復軌道の持続と原油高などによる伸び鈍化をにらむ)

<16日・金>
20:30 メルケル首相、独主要産業首脳と会談後記者会見
(ギリシャ追加支援への反対論が強まるとユーロ安波乱)
21:30 米2月消費者物価指数
(原油高や雇用回復による物価上昇への影響にらむ。米債金利の低下とドル安に歯止め)
22:15 米2月鉱工業生産
(2月ISM景況指数の生産は前月比で小幅に低下。資源高や暖冬による公益部門の減産がマイナス要因)
22:55 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(雇用改善や株高はプラス材料。原油高とガソリン高の悪影響が撹乱要因)


nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:マネー

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

日本株週間展望そのまま反映 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。