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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週3月19日-23日週の為替相場は、スピード調整の円高やドル安とドル/円、クロス円での根強い外貨の押し目買い(円の戻り売り)トレンド持続を見極める展開となる。

前週はドル/円でドル高・円安が持続したものの、週後半はドル高の勢いが鈍化した。

ややドル高・円安のスピードに過熱感が高まっているほか、日本企業の3月決算対策に伴うドル売り・円買いの最後のピーク、原油高や米国債金利の上昇(債券価格は下落)、FRBの追加金融緩和期待の後退による先行きの米国経済の成長鈍化や米国株の上げ渋りへの懸念などがドルの上値を抑えている。

今週も米国での株価動向や住宅などの経済指標、FRB幹部などの要人発言に一喜一憂の展開が続く。

基本的な米国経済の回復や米国債金利の上昇を受けたドル高・円安トレンドは固まりつつあるものの、少しでもドル安材料や円高材料が出てくると、調整的なドル安・円高が警戒されやすい。

テクニカルでもドル/円は、21日移動平均線、200日線といった節目ラインからドル高方向への上方乖離が拡大してきた。

短期的なドル高の過熱感が意識されつつある。

当面、5日線の「上抜け状態」と5日線方向性の「上向き化」が続いている間は5日線などを下値メドとしたドルの押し目買いトレンドが持続されるものの、完全に5日線を下抜けたり、5日線の方向性が横這いが下向きに向かい始めると、12日線や21日線、新たな悪い材料が出てきた場合は200日線といった節目の方向への調整ドル安(円高)のリスクが警戒されるだろう。

クロス円も同様だ。

クロス円でいえば現在、ユーロ、ポンド、スイス・フランなどの欧州通貨、豪ドル、NZドル、カナダ・ドルなどの資源国通貨は、対ドルで頭打ち、もしくは下落傾向が目立ち始めている。

現状は米国の回復やFRBの追加緩和後退による「良いドル高」が、裏表で欧州通貨や資源国通貨の押し下げに作用している構図だ。

結果、円相場はドル/円でのドル高・円安が引っ張る形で、クロス円でも円安(欧州通貨高や資源国通貨高)が維持されている(=リスク選好の円全面安)。

しかし、少しでも米国株を始めとした世界株の調整下落や、原油高、イラン緊張、中国など新興国の減速、欧州債務不安の再燃といった悪い材料に市場の関心が高まると、リスク回避が再燃する。

昨年後半のような安全逃避に伴う「悪いドル高」に逆戻りし、その場合は対ドルでの欧州通貨や資源国通貨の下げ幅拡大が、対円でもこうした通貨の下落へと本格波及(円高)。

クロス円での外貨安・円高が引っ張る形で、ドル/円でも調整円高を強める潜在余地は残されている(=リスク回避の円全面高)。

もっとも短期的な過熱調整の円高・外貨安に振れても、国内では3月決算に伴う円高圧力のピークアウトに連れて、4月以降は「需給円高」が一段と後退していく。

万一の円高再燃の場合には、日銀が物価のプラス1%達成という目標に向けて追加緩和を強化させるという安心感が強い。

しかも現在は世界的に原油高などによるインフレが警戒されている。

その中での通貨安はインフレを一段と刺激する(輸入物価を押し上げ)もので、昨年までのような世界的な通貨安競争は後退してきた。

現状、欧米や中国などは「一段の通貨安による輸出(外需)の振興」から、「通貨の安定による原油高の弊害除去と内需の拡大」へと微妙に軸足を移行させつつある。

こうした政策面でも中長期のトレンドとして、ドル/円、クロス円ともに「外貨が下がれば買い」という押し目買い(円の戻り売り)が固まりつつある。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<19日・月>
06:00 NZ・1-3月期ウエストパック消費者信頼感
(欧州不安の一服や米回復、商品相場の上昇などが下支え)
13:30 スティーブンス豪中銀総裁、クレディ・スイスの会合で講演
(中国の減速リスクなどへの警戒焦点。追加利下げを示唆なら豪ドルが再下落も)
21:35 ダドリー・ニューヨーク連銀総裁、講演[ロングアイランド]
(追加緩和支持派の急先鋒。先行き慎重姿勢を堅持させるとドル安。インフレ警戒の発言が出ると、サプライズのドル高に)
23:00 米3月NAHB住宅市場指数
(雇用復調や春の住宅購入シーズンなどがサポート要因)

<20日・火>
09:30 豪中銀、議事録公表
(改めて追加利下げが示唆されると豪ドル安に。一定の織り込みも進む)
18:30 英2月消費者物価指数
(原油高が上昇要因も、経済停滞が物価の押し下げ要因。ポンドの上値を抑制)
21:30 米2月住宅着工件数
(先行指標の建設許可件数は前月に増加。雇用復調や暖冬などもサポート要因)
23:00 ガイトナー米財務長官、下院金融委員会で国際金融システムについて証言
25:45 バーナンキFRB議長、ジョージ・ワシントン大学で講演
(原油高などによるインフレ警戒発言が強まるドル高。成長の脆弱性を強調ならドル安に)

<21日・水>
06:45 NZ・10-12月期経常収支
(通貨高による輸出減、復興需要などによる輸入増が赤字要因。NZドルの上値を抑制も)
18:30 英中銀、金融政策委員会議事録公表
(前回会合では資産買い入れの大幅増額提案メンバーを確認。追加緩和の支持票がポンド安に)
21:30 オズボーン英財務相、政府予算案発表
(財政緊縮の強化が経済停滞によるポンド圧迫要因。景気配慮を示すとポンドを支援)
23:00 米2月中古住宅販売件数
(先行指標の成約指数は前月に上昇。雇用復調や暖冬などがサポート要因)

<22日・木>
06:45 NZ・10-12月期GDP
(復興需要などが下支え。ただし、10-12月は世界的に成長が低迷)
08:50 日2月貿易収支[通関統計]
(黒字回復が調整的な円高リスクに。黒字幅が予想を下回るようだと円安波乱も)
17:30 独3月製造業/非製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月製造業/非製造業/総合PMI
(ユーロ安や債務金融不安の一服、ECB金融緩和などが支援材料)
18:30 英2月小売売上高
(欧州債務不安の一服や株高などが下支え。原油高が撹乱要因)
21:30 米新規失業保険申請件数
(雇用回復のモメンタムは固まる。原油高などによる踊り場調整は警戒)
23:00 米1月住宅価格指数
(雇用復調や住宅ローン金利の低下、暖冬などが住宅の底入れを後押し)

<23日・金>
20:00 加2月消費者物価指数
(原油高や米国経済の回復などによる物価の下げ止まり焦点。カナダ・ドルを下支えも)
23:00 米2月新築住宅販売件数
(雇用の回復、暖冬、住宅ローン金利の低下などがサポート要因)


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