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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週4月23日-27日週の為替相場は、ドル/円、クロス円での円安・外貨高の基盤固めを基本シナリオとしながら、ユーロ安やドル安の再燃(=円高)を常に警戒する神経質な展開となる。

最大の焦点は日米中銀の金融政策だ。

まず24-25日に米FOMCが開催されるが、根強い雇用・住宅市場の低迷に配慮する形で先行きの追加金融緩和が示唆される可能性がある。

景気見通しへの慎重さや量的緩和第3弾(QE3)の地ならしが見られると、改めてドル安が進むリスクは消えていない。

一方で委員内で原油高などによるインフレ警戒の声が強まると、大規模な緩和観測は後退。

ドルは全面高に作用する。

しかし、米国株にはマイナスとなるため、株安がクロス円主導による「リスク回避の円全面高」を招く波乱余地を秘めている。

そうしたドル安と円高のリスクが残る中で、27日に日銀の金融政策決定会合が開催される。

27日段階での米FOMCや米国の指標、決算発表、欧州国債入札などの結果状況次第ながら、日銀の結果発表時にドル安やユーロ安、円高のセンチメント(市場心理)が強まっていると、事前報道の範囲内の追加緩和であれば「失望」や「材料出尽くし」による円全面高を誘発するリスクをはらむ。

とはいえ日銀には、与野党から日銀法改正や人事介入などを材料としたデフレ脱却努力への圧力が高まってきた。

最近では国会で難航する消費税増税法案の協力取引として、民主党は自民党が提案する日銀法改正の受け入れでバーターする可能性まで浮上している。

その中で日銀が政治圧力をはねのけるため、円高・デフレ阻止と物価目標達成の「責務」のもとで、サプライズの緩和強化を行う可能性も排除できない。

その場合は過去2年に繰り返された「4-5月以降の円全面高リスク」が完全に後退。

ドル/円、クロス円で緩やかな円全面安のトレンド軌道が決定づけられる。

また、日銀の緩和措置でも円高が激化するようなら、介入再開の可能性が注視されるだろう。

日本はIMFへの追加拠出に応じることで欧州債務危機の防止に全面協力しており、にもかかわらず円高の火の粉が襲うようであれば、欧米に円高阻止の理解が得られやすい。

さらに日本では経常黒字が急減してきた。

同時に欧米が日本に主張してきた「円高の原因は日本国内の構造デフレにあり、まずはデフレ克服の努力を行うべき」という意見に対しても、日銀が追加緩和の自助努力を行う公算となっている。

それでも円高が加速すると、国際的な客観基準や経済ファンダメンタルズとの見合いで「円高は行き過ぎ」という円の過大評価が明確化。

介入を含めた日本の円高是正努力が海外から黙認される可能性がある。

その他、今週は22日のフランス大統領選挙第1回投票の結果を受けた市場反応や、相次ぐ米国での経済指標と決算発表、23日の中国PMI指数、24日のスペインとイタリア・26-27日のイタリアでの国債入札、25日の英国・27日の米国でのGDP発表、26日のNZ中銀政策会合などのイベントに一喜一憂する波乱含みの展開が想定されそうだ。

テクニカル面ではドル/円、クロス円ともに日足と週足・一目均衡表の先行スパンの雲の上限ラインや下限ラインの上抜け維持攻防となっている。

日々、こうしたラインの上抜けが固まるか(外貨高・円安)、あるいは完全に下抜けていくか(外貨安・円高)を見定めていく重要な正念場が続きそうだ。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<23日・月>
11:30 中国4月HSBC製造業PMI[速報]
(資源高の一服などが過度な減速を抑制。豪ドルなどの資源国通貨を左右)
16:30 独4月製造業/非製造業PMI[暫定値]
17:00 ユーロ圏4月製造業/非製造業/総合PMI[暫定値]
(4月分はドイツのZEW、IFO景況指数が揃って改善。一定の回復は織り込まれる)
18:00 2011年EU加盟国の公的債務・財政赤字統計
(スペインやイタリアなどの債務動向に神経質な地合い)
24:45 バイトマン独連銀総裁、講演[NY]
(インフレ警戒のタカ派。追加の資金供給・国債買い入れの否定発言がユーロ安リスクに)

<24日・火>
10:30 豪1-3月期消費者物価指数
(資源高の影響が焦点。少しでも上振れなら追加利下げが不透明感で豪ドル高の波乱)
21:30 加2月小売売上高
(2月は資源高が悪材料。ただし、カナダ・ドルは先行き利上げ観測が押し目買い材料に)
22:00 米2月S&Pケースシラー住宅価格指数
(最近の住宅指標は伸び悩みが目立つ。少しでも改善すると過度な悲観が後退)
23:00 米4月消費者信頼感指数
(資源高や雇用伸び悩み、株高の一服が重石。ただし、4月は季節的に上昇しやすい実績も)
23:00 米3月新築住宅販売件数
(暖冬による需要先食いの反動や雇用の伸び悩みなどで下振れ警戒)
米企業決算=AT&T、アップル、アフラック、3M
(アップル株はすでに過熱調整が進展。一定の失望内容は織り込まれつつある)

<25日・水>
17:30 英1-3月期GDP[速報]
(建設関連が下押し要因。すでに英中銀幹部が低迷を警告しており、一定の織り込みも)
21:30 米3月耐久財受注
(ISM製造業指数では3月の新規受注が10月以来の低水準。航空機メーカーの受注も減少)
25:30 米連邦公開市場委員会[FOMC]政策金利を発表
27:00 FOMC経済見通し発表
27:15 バーナンキFRB議長、記者会見
(追加緩和に言及があるとドル安。様子見示唆ならドル高の反面、米株安でクロス円に円高圧力)
[休日]オーストラリア、ニュージーランド

<26日・木>
06:00 ニュージーランド中銀、政策金利
(当面の様子見がNZドルを圧迫。少しでもインフレ警戒ならNZドル高の波乱)
18:00 ユーロ圏4月消費者信頼感[確報]、鉱工業信頼感、業況判断指数
(ドイツは改善するも、その他の地域は債務金融不安が重石に)
21:30 米新規失業保険申請件数
(暖冬による雇用増加の反動や資源高などで再悪化。少しでも改善すれば悲観後退)
23:00 米3月中古住宅販売成約指数
(雇用の伸び悩みや暖冬による需要先食いの反動で低迷リスク)
欧企業決算=ドイツ銀行[ドイツ]、バークレイズ[英国]、サンタンデール銀行[スペイン]
(欧州債務金融危機による影響や不良債権の度合いが焦点に)

<27日・金>
08:50 日3月鉱工業生産[速報]
(前月の下振れの反動回復も。輸出の復調度合いの弱さや資源高が懸念材料)
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
(すでに大幅緩和は織り込まれる。失望や材料出尽くしの円高と、さらなるサプライズの円安にらみ)
10:00 豪3月HIA新築住宅販売
(経済相関の高い中国では3月指標が下げ止まり)
16:00 スペイン1-3月期失業率
(大幅悪化のリスクがスペインの債務金融不安に拍車も)
21:30 米1-3月期GDP[速報]
(小売指標の改善などで底堅さも。暖冬も指標の押し上げ要因)
22:55 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数[確報]
(雇用伸び悩み、資源高、株高一服などが悪材料。速報の悪化で一定の減速は織り込まれる)


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