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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週6月11日-15日週の為替相場は、リスク回避の後退によるユーロ安一服や円高歯止めの「持続性」をにらんだ緊迫攻防となる。

前週は円が全面安。

G7電話会議で欧州危機に対する連携が確認されたことや、スペインの銀行救済に対する政策対応の進展、欧州中銀(ECB)の先行き緩和示唆、日本の当局の円高阻止姿勢の強化などにより、過度な円全面高に対する反動調整の円売り戻し(外貨買い戻し)が見られた。

しかし、7日にバーナンキ米FRB議長が追加緩和を示唆しなかったことで、リスク選好の流れは一服。

スペイン救済は9日のユーロ圏財務相・電話会合まで不透明感が残るほか、中国の利下げがかえって中国の減速の深刻さを警戒させたことになり、リスク回避の円高圧力が根強く残されている。

その中で今週の週明け早朝からは、9日の中国指標やスペイン救済の結果を受けた展開となっていく。

改めて不安が高められると円が全面高、過度な不安感が払拭されると円全面安という手探り相場となる。

そのあとは米国の経済指標にらみとなりそうだ。

今週の指標は小売売上高、鉱工業生産、最新6月の景況感指数などで減速が警戒されており、改めて「FRBの追加緩和催促」による米国の株安やドル安、リスク回避の円高が警戒されやすい。

一方で14-15日は日銀の政策会合が開催される。

15日までに株安・円高が激化しているようなら、日銀の追加緩和とその後の財務省・日銀による円高阻止介入が意識されるだろう。

反対にこのまま円高の一服が続くと、日銀は「17日のギリシャ再選挙や19-20日の米FOMC待ち」で様子見を保つと見られている。

その場合は単発的に失望の円高に振れるリスクも排除できない。

そして今週の最大の注目は17日のギリシャ再選挙だ。

一部では「公務員のストライキが選挙実施の妨げになる」という報道があり、先行き不透明感が強い。

選挙直前までは開催の有無や世論調査に一喜一憂となろうが、最終的には財政緊縮派が勝利するという観測が高まっている。

その場合は改めてギリシャのユーロ離脱懸念が後退。

選挙前の事前の予測報道を含めて、過度なリスク回避の揺り戻しによる円全面安が本格定着していく可能性も残されている。

ちょうどシカゴIMMの投機的なポジション(国際通貨先物市場、非商業部門)では、最新6月5日時点で円は2月以来のネット・ロングに転じてきた(買い持ち)。

3月中旬以降は大幅に積み上がった円ショート(売り持ち)の整理手仕舞いが円全面高を加速させてきたが、少なくともポジション要因では円の買い戻し圧力がピークアウトしている。

もちろん、今後もリスク回避が続くようなら、円ロング(=円買い)が一段と拡大していく可能性は消えていない。

しかし、各国で政策対応への期待感が高まっていることや、日本の当局は3月・日銀短観の想定レートである1ドル=78.14円の死守姿勢が強固であること、現在の資源下落や各国での金利低下は先行き世界経済を下支えしていくこと、日本では貿易赤字が定着し、需給面での円高圧力は後退していることなどにより、現状からの積極的な円ロングの積み上げには制約も多くなってきた。

さらに米独の長期金利は記録的な水準へと急低下(債券価格は急騰)しており、理論値の面からは金利の低下余地が狭まってきた。

この点も円ショートの解消(=円買い戻しエネルギーの減退)とあいまって、現状からのドル安やユーロ安の余地を縮小させる要因として注目される。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<11日・月>
15:45 仏4月鉱工業生産、仏4月製造業生産
17:00 伊1-3月期GDP[確報]
(改めて欧州景気の減速が示される可能性)
19:00 OECD主要国4月景気先行指数
(世界経済の先行き減速の度合いを探る参考に)

<12日・火>
09:00 白川日銀総裁、SF連銀主催テレビ会議で講演
(当面の様子見や過剰緩和の弊害に言及なら円高。追加緩和に含みならサプライズの円安)
10:30 豪5月NAB企業景況感指数
(豪州の指標は過度な下振れが一服。欧中の減速は重石)
17:30 英4月鉱工業生産
(英国の製造業指標は悪化の傾向)
21:30 米5月輸入物価指数
(資源下落と対円以外のドル高が輸入物価を抑制。先行きの金融緩和を支援)

<13日・水>
08:50 日4月機械受注統計
(4月までは欧州債務危機や中国減速の影響が限定)
15:00 独5月消費者物価指数[確報]
(資源下落で物価の上昇一服。ECBの緩和を支援。ユーロ安とリスク回避一服の両材料)
18:00 ユーロ圏4月鉱工業生産
(欧州の製造業指標は総じて悪化)
21:30 米5月小売売上高
(5月の既存店売上高は予想を上回るも、自動車販売の鈍化やガソリン価格の下落が下振れ要因)

<14日・木>
06:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(景気の慎重見通しがNZドルの上値を抑制)
14:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[15日まで]
(追加緩和催促の円高仕掛けは警戒。事前に「緩和措置の検討」報道などが出ると円安)
16:30 スイス中銀、政策金利発表
(ユーロ安リスクが続き、通貨高の阻止姿勢は根強い)
18:00 ユーロ圏5月消費者物価指数[改定値]
(資源下落や景気減速が物価を抑制。先行きのECB金融緩和を支援。ユーロ安とリスク選好の両材料)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週は5週ぶり改善で雇用の再悪化懸念が一服)
21:30 米1-3月期経常収支
(輸出の拡大で赤字は減少傾向。長期スパンでドル安に歯止め)
21:30 米5月消費者物価指数
(資源下落や国内外の景気減速が物価を抑制。先行きのFRB金融緩和を支援。ドル安とリスク選好の両材料)
OPEC総会
(原油下落を受けた減産焦点。原油高材料が出てくると、豪ドルなどの資源国通貨を支援)

<15日・金>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後直ちに結果公表]
(17日にギリシャ再選挙、19-20日に米FOMCを控えて様子見も。失望円高は警戒)
15:30 白川日銀総裁、記者会見
15:50 ドラギECB総裁、ECB関連会議で講演[フランクフルト]
(いずれも今後の緩和措置に注目が集まる。金融政策の限界に言及ならリスク回避へ)
18:00 ユーロ圏1-3月期雇用者数
(ドイツ以外は雇用が低迷。ユーロ安要因)
21:30 米6月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(最新6月指標の先頭バッター。欧州債務不安や中国減速、株安などが景況感を圧迫)
22:15 米5月鉱工業生産
(自動車などの回復鈍化。気温上昇による電力関連の生産拡大が特殊な上振れ波乱にも)
22:55 米6月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(欧州不安や株安が消費マインドに悪影響。資源下落や住宅復調が過度な下振れを抑制)

<17日・日>
ギリシャ再総選挙
(緊縮財政派が盛り返すと週明けからユーロ反発や円全面安。混乱続くとユーロ安と円高に)
仏下院選挙の第2回投票
(よほどのサプライズな結果とならない限り、影響は限定的)


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