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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週7月30日-8月3日週の為替相場は、リスク回避の後退によるユーロ反発や円全面安の持続性を見極める展開となる。

前週は後半にかけてユーロが反発。

ドラギECB総裁や独仏首脳が相次いで「ユーロを守るため、あらゆる措置を講じる」と決意を表明したほか、「ECBが欧州各国とともにスペインとイタリアの国債を買い支える協調行動に踏み切る」との観測報道などが過度な欧州不安を後退させた。

その中でポンドなどの欧州通貨や豪ドルなどの資源国通貨も買い戻され、反対に安全逃避で買われてきたドルや円が反落。

ドル/円はドル全面安に押されたが、週末27日には米国の4-6月期GDPが懸念ほど悪化しなかったことや、安全逃避の後退で米国債金利が上昇(債券価格は下落)したことで、ややドルが上昇に転じている。

前週のユーロ反発は、今後の「政策期待」が月末や五輪前のポジション調整とあいまって投機的なユーロ売り(ユーロ・ショート)の巻き戻しを誘発させた。

欧州債務金融危機の根は深く、あくまで短期的な自律調整との見方も強いが、2日のECB理事会などに向けた政策期待と、実際の政策効果の持続性が焦点となりそうだ。

最近ではECBが昨年12月と今年2月に3年物資金供給(LTRO)という危機対応策を行った。

その効果によるユーロ高や円全面安は、1-3月にかけての3カ月程度となっている。

一方、EU首脳会議は6月末、スペインの銀行支援などで合意したが、ユーロは一時的な反発のあと、僅か1週間足らずの7月4日から再下落に転じた(円は全面高へ)。

今回も双方の可能性をはらむ。

ただし9月になれば、ドイツ憲法裁判などを経たあとの欧州安定化システム(ESM)の稼動、スペインの銀行に対するストレステストの結果公表と実際の資本注入始動、ギリシャ財政再建の進捗調査の終了、オランダ総選挙やスペイン再格下げなどによる「悪材料の出尽くし」といった好材料が期待できる。

こうした9月のイベントを踏まえると、よほどの政策失望がなければ、ユーロ反発や円全面安は9月まで持続する可能性が消えていない。

一方、ドルについては7月31日-8月1日にFOMC、3日に米雇用統計が予定されている。

いずれもドル安と、ドル/円の主導による円全面高の再開リスクを秘めたものだ。

ただし、前週末には米国のGDPが懸念ほど悪化せず、大規模な緩和期待が後退したが、「失望の米株安とリスク回避の円高」とはならず、「米国経済の底堅さと欧州での政策期待による円全面安」につながった。

よほどのドル安サプライズがない限り、欧州での政策期待が残る間はクロス円での円安と、ドル安・円安の中でのドル/円はややドルが持ち直しという展開が想定されそうだ。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに、日足・一目均衡表チャートで8月中旬に変化日を示す「雲のネジレ」が観測されている。

これから8月にかけては、雲のネジレ水準を目指した外貨の反発と、ネジレの上抜け通過による上昇トレンド入り(円安)。

あるいは新たな悪材料に伴い、ネジレ方向へのトライに至らず外貨が再失速したり、ネジレ方向への一時的な外貨高があっても、結局はネジレの上抜けに失敗。

外貨の下落トレンドが再開(円高)されるという、両リスクをはんらんだ重要分岐点を迎えている。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<30日・月>
08:50 日6月鉱工業生産[速報]
(前月悪化の反動改善の度合い焦点。株安とリスク回避の円高を抑制)
17:30 英6月消費者信用残高、住宅証券融資残高、住宅ローン承認件数
(欧州債務金融危機の波及などが重石)
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感[確報]、鉱工業信頼感、業況判断指数
(減速傾向も一定の悪化は織り込まれる)
23:30 米7月ダラス連銀製造業活動指数
(資源関連の拠点であり、原油の下げ止まりなどが下支え)

<31日・火>
10:00 豪6月HIA新築住宅販売
10:30 豪6月住宅建設許可件数
(利下げ効果などにより、豪州の指標は持ち直し傾向)
16:55 独7月雇用統計
(ユーロ安や資源下落、利下げなどによる下げ止まり焦点)
17:00 伊6月失業率[速報]
(スペインの失業率は過去最高まで悪化)
18:00 ユーロ圏7月消費者物価指数[速報]
(落ち着きならECBの利下げ観測を後押し。ユーロ安とリスク選好の円安の両材料)
21:30 米6月個人所得/個人支出
(小売売上高は低迷も、自動車販売の底堅さが上振れの撹乱要因)
22:00 米5月S&Pケースシラー住宅価格指数
(5月までは春の住宅購入シーズンもあり、住宅指標は改善傾向)
22:45 米7月シカゴ購買部協会景気指数
(シカゴ周辺が拠点の自動車産業は打たれ強さ)
23:00 米7月消費者信頼感指数
(ミシガン大調査は年初来の最低を更新も、予想ほどには悪化せず)

<1日・水>
10:00 中国7月製造業PMI
(HSBC調査は持ち直し。リスク選好の円安や豪ドルなどの資源国通貨をサポートも)
11:30 中国7月HSBC製造業PMI
(速報は前月比で改善。下方修正の波乱リスクも消えず)
16:55 独7月製造業PMI[確報]
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI[確報]
(減速警戒も一定の悪化は織り込まれる)
17:30 英7月製造業PMI
(欧州債務危機の波及が重石。追加緩和や五輪特需などでの下支え度合いが焦点)
21:15 米7月ADP雇用統計
(工場のメンテ・設備更新などによる季節的な一時閉鎖が限定的に。雇用の減速を抑制)
23:00 米7月ISM製造業景況指数
(減速警戒も自動車、航空機などの製造業関連は打たれ強さ)
27:15 FOMC金利誘導目標発表
(4−6月期GDPが懸念ほど悪化せず、大規模緩和は後退。先行き緩和の地ならし焦点)

<2日・木>
08:50 日7月マネタリーベース
(昨年の震災直後の急増に対する反動減少が一服。緩やかな増加が円高を抑制)
10:30 豪6月貿易収支、6月及び4-6月期小売売上高
(過度な中国の減速懸念が一服。利下げ効果などで消費も復調)
17:30 英7月建設業PMI
(減速傾向も一定の悪化は織り込まれる)
20:00 英中銀、政策金利発表
(市場予想は据え置き。ECBとの協調緩和ならサプライズ。リスク選好の円安材料に)
20:45 欧州中銀、政策金利発表
21:30 ドラギECB総裁、定例記者会見
(利下げと国債買い入れ強化焦点。材料出尽くしや失望のユーロ安リスクも残る)
21:30 米新規失業保険申請件数
(工場一時閉鎖などの季節調整による悪化は一服)
スペインのラホイ首相、イタリアのモンティ首相と会談
(具体的な政策期待と失望の両にらみ)

<3日・金>
10:00 中国7月非製造業PMI
(利下げ効果などで過度な減速は一服)
16:55 独7月非製造業PMI[確報]
17:00 ユーロ圏7月非製造業PMI[確報]
(減速警戒も一定の悪化は織り込まれる)
17:30 英7月非製造業PMI
(五輪や英国女王即位60周年イベントなどでの特需が下支え)
21:30 米7月雇用統計
(工場のメンテ・設備更新などによる季節的な一時閉鎖が限定的に。雇用の減速を抑制)
23:00 米7月ISM非製造業総合指数
(欧州債務危機や来年からの財政緊縮への懸念が重石。住宅復調や資源下落が深押しを抑制)


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