SSブログ

今週の為替相場展望 [為替情報]

今週11月12日-11月16日週の為替相場は、欧米の財政懸念を受けたリスク回避の円高持続と反動円安をにらむ展開となる。

前週はドル/円、クロス円で円全面高が加速された。

オバマ米大統領の再選で輸出倍増計画やFRBの量的緩和策(QE)が持続されるとの見方により、ドル安志向の長期化に警戒感が高まっている。

さらに米議会選の結果を受けたネジレ構図の継続と財政の崖への懸念、欧州でのギリシャ追加支援の払い込み合意遅延、ギリシャ政府の手元資金枯渇によるデフォルト(債務不履行)リスク、欧米の格下げ懸念などが重なり、ユーロ安や安全逃避の円高を再燃させている。

今週も欧米の財政問題の早期解決を催促するような世界株安、ユーロ安、リスク回避の円高と対円以外でのドル高(欧州通貨や資源国通貨などの下落)が警戒されやすい。

政策対応や要人発言に一喜一憂の不安定さが続きそうだ。

もっとも米国株の急落や円全面高などのリスク回避は、年末決算や年末休暇を控えた海外の金融機関やファンドなどによる利益・損失の確定とポジション手仕舞い、現金化という季節要因も大きい。

とくにヘッジファンドなどは顧客が解約・投資資金の還元を求める期限として15日(決算期末の12月末の45日前というルール)が意識されており、15日前後で株安・円高の勢いが一服してくるかも焦点となりそうだ。

さらに海外勢の年末決算対策のピークとしては例年、米国の感謝祭(今年は22日)前後が意識されやすい。

一方、現在は2007年から何度も繰り返されてきた「リスク回避の円高」が再現されているものの、安全逃避通貨としての円には陰りも見られ始めた。

12日の日本の7-9月期GDPは下振れが懸念されているほか、21日に控える10月の貿易統計は中国ショックなどにより、「貿易赤字額は1兆円に迫る」との観測も浮上している。

さらに円については12月にかけての日銀の追加緩和観測や、早期の衆院解散・総選挙説の高まりを受けた「自民党の政権復帰」の場合の日銀への緩和圧力と円高阻止強化なども注目されそうだ。

いずれも現状からの円高オーバーシュートと一旦の円高クライマックスを経たあとの、反動揺り戻しによる円安材料となる可能性を秘めている。

その他、前週からの円全面高は、シカゴ国際通貨市場(IMM)などで積み上がった投機的な円ショート・ポジション(売り持ち、非商業部門)の整理巻き戻しも大きい。

ただし、11月6日時点での円ショートは差引き-4万104枚となっており、今年3月27日のピークである-6万7622枚や昨年ピークである-5万枚ほどには膨張していない。

すでに足元では6日以降の円高で円ショートの整理・縮小が進展していると見られ、過去に比べると円ショートのポジション調整に伴う円高のショック度合いは限られそうだ。

しかも過去には円ショートの整理を超えてネットの円ロングが拡大し、円全面高を加速させてきた。

しかし、現在は日本の貿易赤字拡大や日銀の追加緩和観測、海外勢の年末本国送金(ドル転など)で円高余地には制約があり、円ショート整理の範囲を超えた投機的な円ロング積み上げ(=円買い)には歯止めが掛けられる可能性がある。

海外要因でも前週には急激な通貨高に直面してきた韓国で、中銀がウォン高阻止のための利下げを見送った。

新興国は潜在的なインフレ懸念や資本流出への警戒感を受けて、強引な通貨安誘導が後退しており、世界通貨安競争の一服が「消去法的な円独歩高」を抑制させる余地も残されている。



経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<12日・月>
08:50 日7-9月期GDP[一次速報]
(エコカー補助の剥落、復興事業の息切れ、日中悪化などで下振れ懸念)
09:30 豪9月住宅ローン約定件数、豪9月投資貸付
(豪州や中国の指標は改善傾向)
11:30 白川日銀総裁、きさらぎ会で講演
(世界減速に欧米の財政懸念が日本経済の下振れ要因に。12月緩和焦点)
20:00 OECD9月景気先行指数
(世界減速の落ち込み角度や低下期間予測の参考に)
25:00 ユーロ圏財務相会合[ブリュッセル]
(ギリシャ支援を巡り、失望と政策進展期待の両にらみ)
[カナダ]リメンバランスデー
[米国]ベテランズデー(株式市場は取引、債券市場は休場)

<13日・火>
06:45 NZ10月食品価格指数
(資源下落や内外経済の減速が物価の下落要因に。NZドルを抑制)
09:30 豪10月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(豪州や中国の指標は改善傾向)
17:00 EU財務相会合[ブリュッセル]
(ギリシャ支援を巡り、失望と政策進展期待の両にらみ)
18:30 英10月消費者物価指数、小売物価指数
(授業料や電気・ガス料金の値上がりが上振れ要因。ポンドを下支え)
19:00 独11月ZEW景況感指数
(欧州では金融機関の体力低下・信用収縮と財政緊縮による景気の悪化が強まる)
29:30 イエレンFRB副議長、講演
(財政の崖による景気減速に対応したFRBの追加対応に注目が集まる)

<14日・水>
06:45 NZ7-9月期小売売上高指数
(資源下落や通貨高などでNZ指標は低迷の傾向)
18:30 英10月雇用統計
(五輪特需の反動や欧州景気の悪化などで伸び悩みリスク)
19:00 ユーロ圏9月鉱工業生産
(欧州の生産指標は総じて悪化)
19:30 英中銀、四半期インフレ報告
(ガソリン・電気料金の引き上げなどが物価見通しの上振れ要因。ポンドを下支え)
22:30 米10月生産者物価指数
(輸入物価は予想を大きく上回る上昇。米国債金利とドルの下げ渋りに寄与)
22:30 米10月小売売上高
(自動車販売鈍化や資源価格下落を受けたガソリン・スタンドの売上減が下振れ波乱)
28:00 FOMC議事録[10月23、24日分]
(失業率目標など追加策協議があるとドル安。景気への前向き意見が目立つとドル高)

<15日・木>
15:30 仏7-9月期GDP[速報]
16:00 独7-9月期GDP[速報]
18:00 伊7-9月期GDP[速報]
19:00 ユーロ圏7-9月期GDP[速報]
(ECBなどの政策対応やユーロ安効果で、前期悪化からの小幅な反動回復も)
22:30 米10月消費者物価指数
(輸入物価は予想を大きく上回る上昇。米国債金利とドルの下げ渋りに寄与)
22:30 米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数
(ハリケーン被害で大幅な下振れ懸念。ただし、一定の悪化は織り込みも)
22:30 米新規失業保険申請件数
(年末商戦に向けた臨時雇用の始動などが改善=申請は減少の要因に)
24:00 米11月フィラデルフィア連銀景況指数
(ハリケーン被害で大幅な下振れ懸念。ただし、一定の悪化は織り込みも)
27:20 バーナンキFRB議長、講演[アトランタ]
(財政の崖による景気減速に対応したFRBの追加対応に注目が集まる)

<16日・金>
18:00 ユーロ圏9月経常収支
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
(ユーロ安効果などで収支は改善傾向。ユーロの底割れ抑制)
23:15 米10月鉱工業生産
(10月のISM製造業景況指数での生産指数は改善。月末ハリケーン被害の影響が波乱)
 メルケル独首相、プーチン・ロシア大統領と会談[モスクワ]
(ギリシャなどがユーロ圏離脱ならロシアが救済触手も。ユーロ圏側は潜在脅威で結束維持の材料に)



nice!(40)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:マネー

nice! 40

コメント 1

macinu

大統領選も終わってひと段落と思っておりましたがすぐにヨーロッパ韓液ですね~!ネタがなくなると、ギリシャ、スペイン関係が出てきますね~!
by macinu (2012-11-11 14:39) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。