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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週3月7-11日週の為替相場は、リスク回避の円高再燃とユーロ高・ドル安の持続性をにらんだ展開となる。

前週末4日の日足ローソク足チャートはドル/円、クロス円ともに長い上ヒゲを残して終了した。

4日の外貨高値にかけての上値の重さを示唆するもので、今週前半は外貨の戻り売りと下限トライが意識されやすい。

同時に米国株も昨年9月以降の長期株高に対し、調整下落入りが警戒されつつある。

リビア混乱や原油高騰に加えて、前週からはECB(欧州中銀)の4月利上げ観測が急浮上。

世界的な過剰流動性相場の「終わりの始まり」が懸念され始めた。

5月には英国中銀の利上げ、6月には米FRBによる追加量的緩和(QE2)の縮小という可能性も視界に入っており、世界的な株高や資源高には一旦の利益確定売りやポジション手仕舞いが警戒される。

リスク回避の円全面高やスイス・フラン高の要因となるものだ。

一方で欧英米での金融緩和後退は、金利差面でいえば先行きの円安、ユーロ高、ポンド高、ドル高の材料となる。

しかも日銀だけは根深いデフレ圧力により、包括緩和の長期化が濃厚だ。

世界株高や資源高の過熱調整が一段落したあとには、低金利の円が調達通貨として着目され、円調達・外貨転活用の広がりが円安要因となる余地を秘めている。

同時に焦点となるのが、日本企業の3月決算対策に伴う「期末円高」の行方だ。

例年、海外収益の円転(ドル売りやユーロ売りなど)は3月中旬にかけてピークを迎える季節性がある。

今年も期末最後のドルやユーロの見切り売りと外貨安・円高のクライマックス、その後の「需給円高の後退」による円安局面入りが注目されるだろう。





なお、今週の注目材料はまず5日からの中国・全国人民代表大会(全人代=国会に相当)。

物価安定のために人民元の緩やかな上昇が確認されると、円の連れ高やドル安・人民元高、あるいは対ドルでの元高に伴う輸出競争力の低下を緩和するためのユーロ高・人民元安といった余波が注視される。

続いて10日には英国中銀が金融政策委員会を開催する。

ECBに続いて5月の利上げ地ならしが進展すると、先回り的なポンドの押し目買いが支援されやすい。

10日はNZ中銀会合での利下げリスクが「会合前までNZドル安」、「会合後に材料出尽くしの買い戻し」という乱高下を招く。

米国では11日の小売売上高が焦点だ。改めて景気の回復が確認されるようなら、過度なリスク回避とドル安・円高が抑制される。

その他、前週のユーロ急騰の反動調整を促すようなユーロ安材料のぶり返し、リビア情勢と原油高の行方、日本の当局による期末配慮の株安・円高阻止策などが注目されそうだ。

テクニカルでは、ドル/円は昨年11月以降のドル安値を結んだ下限トレンドライン(81.60-80円)の維持、ユーロ/円、ポンド/円、カナダ/円は200日移動平均線の「上抜け」と「上向き」の定着、豪ドル/円は21日線の「下抜け」と「下向き」への転換などが焦点となっている。

経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<7日・月>
21:00 トリシェECB総裁、講演[バーゼル]
(ユーロは今後の利上げ幅と利上げ期間に注目が集まる。短期的には過熱調整のリスクも)
22:00 ロックハート・アトランタ連銀総裁、米経済について講演
23:15 フィッシャー・ダラス連銀総裁、米経済について講演[ワシントン]
(次回FOMCからは追加量的緩和の「6月打ち止め」を巡る議論が本格化へ。委員のスタンスを探る)
29:00 米1月消費者信用残高
(大雪や金利上昇などが改善傾向に冷や水)
5日から中国で全国人民代表大会(全人代=国会に相当)
(今後の引き締め度合いや人民元切り上げ方針、地方底上げの内需刺激策に注目が集まる)

<8日・火>
09:30 豪2月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(景気の回復ペースが鈍化。欧英米での金利上昇も、金利差面での豪ドルの魅力を減退させる)
20:00 独1月製造業受注
(1月のドイツ経済指標は改善が相次ぐ)
22:15 加2月住宅着工件数
(カナダの経済指標はGDPを始めとして総じて底堅さ)
25:00 白川日銀総裁、講演[フランクフルト]
(世界的なインフレ、利上げ機運の中で日銀は包括緩和を堅持。潜在的な円安要因に)

<9日・水>
08:50 日1月機械受注統計
(日本の設備投資は持ち直しの機運。ファンダメンタルズ面で株安・円高を抑制)
09:30 豪1月住宅ローン約定件数、投資貸付
(住宅建設許可件数は大幅に悪化。洪水被害の影響なども懸念)
20:00 独1月鉱工業生産
(1月のドイツ経済指標は改善が相次ぐ)

<10日・木>
05:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(地震被害で利下げの可能性。実際の利下げ後には一旦のNZドル買い戻しも)
09:30 豪2月雇用統計
(前月の大幅改善の反動減がリスク)
10:00 韓国中銀、政策金利発表
(利上げの可能性。アジア通貨高=ドル安とアジア通貨高=円安の両にらみ)
18:30 英1月鉱工業生産
(改善傾向が続くも前月までの急回復の反動減が波乱)
21:00 英中銀、政策金利発表
(政策変更や声明、会見は予定されず。会合前の報道などで「5月利上げ」の思惑が浮上も)
22:30 米1月貿易収支
(内需拡大や資源高による輸入再拡大と赤字の増加が焦点。潜在的なドル安要因)
時間未定 中国2月貿易収支
(旧正月が撹乱要因。黒字減少が「グローバルな不均衡」是正によるドルのサポート要因)

<11日・金>
11:00 中国2月消費者物価指数、小売売上高、鉱工業生産
(物価の高止まりが続くも、急上昇のペースは一服の可能性。過度な利上げ懸念を減殺)
16:00 独2月消費者物価指数[確報]
(ECBの4月利上げは織り込まれ、今後は利上げ幅と利上げ期間に注目が集まる。その参考に)
18:30 英2月生産者物価指数
(英中銀の5月利上げの行方に注目が集まる。その参考に)
19:30 臨時欧州連合首脳会議[北アフリカの現状に関して]
21:00 加2月雇用統計
(米国に続いて緩やかな雇用の回復が焦点)
22:30 米2月小売売上高
(既存店売上高は改善。資源高がガソリンスタンドの売上をカサ上げ)
23:55 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(雇用回復などで回復持続。ガソリンや食料価格の上昇が上昇ペースを抑制も)





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