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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週3月21-25日週の為替相場は、G7での円高阻止合意を受けた円全面安の持続性が焦点となる。

前週の介入前の円高・外貨安の加速を受けて、円調達キャリー取引の手仕舞いや国内外での外貨ロング・円ショートの投機的なポジションの大幅圧縮が進んだ。

その分だけ潜在的な円買い戻し・外貨売り戻しの余地が大きく後退。

ポジションが身軽になっており、反対に新たに外貨買い・円売りのポジションを構築させる余地が広がってきた。

一方、需給面では3月決算対策に伴う海外収益の円転・外貨売りが、3月後半入りとともにピークアウトしていく。

同時に震災による国内保険会社の保険料捻出に向けた外貨建て資産の取り崩し(リパトリエーションの円高)は過剰反応であることが明らかになったほか、前週の円暴騰によってこの問題への織り込みが進展してきた。

為替の底流トレンドを決める経常収支でも、日本では震災被害と電力・燃料不足などにより、輸出の短期的な停滞は避けられない(円買い・外貨売りの減少)。

反対に輸入サイドは燃料・物資・食料の調達不足などにより、先行き増加へ。

電力会社も原発被害によって火力発電を増強させるため、関連資源の緊急輸入を増加させる必要がある(円売り・外貨買いの増加)。

結果として経常黒字の先行き減少が見込まれ、中長期的には円安・外貨高の圧力が高まることになる。





民間金融機関の手元資金量を示す日銀当座預金残高は、今週22日に過去最高の40兆円台となることが確実となってきた。

これまでは米FRBの追加量的緩和(QE2)がドル安を主導してきたが、日銀が実質的に量的緩和を強化させていることで、円の戻り売り(外貨の押し目買い)圧力がジワリと強まりやすい。

もっとも民間金融機関は震災被害や燃料・物資の調達難、原発不安などにより、万一に備えた手元の流動性(現金)確保に躍起になっている。

その分だけ短期金融市場には資金が回らなくなっており、円資金の逼迫感が短期の円金利の上昇を促進。

前週は円調達キャリー取引の巻き戻しをあぶり出し、円の全面高を誘発させた。

今週も信用不安が残る限り、いくら日銀が資金を供給しても円金利の上昇と円高圧力が続くリスクは排除できない。

信用不安やリスク回避を左右するのが、原発事故の対応やリビア情勢、日米株など世界の株価動向だ。

引き続き円金利と円相場は、こうした問題に一喜一憂する不安定な地合いが続く。

経済指標面では、米欧英ともに原油高や先行きの引き締め懸念、地政学リスクなどを受けて、回復ペースの鈍化が警戒されている。

金融政策面では23日の英中銀の政策委員会議事録・公表を始め、米欧中銀幹部の講演などで現状の経済物価判断と今後の政策対応を模索する流れとなりそうだ。

なお、テクニカルでは、ドル/円、クロス円ともに、このまま5日移動平均線や21日線などの「上抜け」と方向性の「上向き転換」を見極める展開となる。

このまま定着してくれば、緩やかな下値切り上がりのトレンドに回帰。

反対にいずれも失敗すると、改めて下値(円高)トライが警戒されることになる。

その中でスイス/円は、09年9月以降の長期レンジ相場の上放れを巡る重要攻防に直面してきた。

経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<21日・月>
23:00 米2月中古住宅販売件数
(先行指標の成約件数は1月に減少。大雪の反動増が撹乱要因)
23:00 トリシェECB総裁、ブリュッセルで講演
(日本の震災を受けた景気見通しの修正焦点。4月利上げが揺らぐとユーロ安波乱)
日 春分の日で休日
(東京休場には円高が仕掛けられやすい。東京休場でも円高が抑制されると、円高センチメントの後退が明確化)
米決算発表 ティファニー
(収益見通し焦点。日本の震災による米国企業への影響を探る一つの参考例に)

<22日・火>
18:30 英2月消費者物価指数
(資源高、1月からの付加価値税増税などが物価を押し上げ。上振れなら5月利上げを支援。ポンドをサポート)
20:00 英3月CBI企業動向調査
(資源高や物価上昇、地政学リスクで改善ペースが鈍化も)
20:30 フィッシャー・ダラス連銀総裁、金融サミットで講演[フランクフルト]
(緩和解除主張のタカ派。日本の震災や原油高などのよる景気見通しの修正焦点)
23:00 米1月住宅価格指数
(1月は大雪などで住宅市場は低迷)

<23日・水>
10:30 宮尾日銀審議委員、大分県金融経済懇談会に出席して講演
14:00 宮尾日銀審議委員、記者会見[大分市]
(政府の「復興国債」発行と日銀による全額買い入れに注目が集まる)
18:30 英中銀、金融政策委員会議事録公表[3月9、10日開催分]
(利上げ賛成票が前回と同じならポンド売り。5月利上げの前兆サインがあるとポンド高)
23:00 米2月新築住宅販売件数
(先行指標である建設許可件数は前月に大幅な減少。低迷持続を示唆)
25:00 バーナンキFRB議長、米国地域銀行協会[ICBA]の会合で講演
(日本の震災や原油高などを受けた景気判断の修正焦点。緩和修正の地ならしがあるとドル高波乱)

24日・木>
08:50 日2月貿易収支[通関統計]
(日中の正月要因で1月の輸出は減少。反動の黒字増加が円高要因)
17:30 独3月製造業PMI[暫定値]
18:00 ユーロ圏3月製造業PMI[暫定値]
(3月は原油高やECB利上げ地ならし、地政学リスクなどで急回復のペースが鈍化)
18:30 英2月小売売上高
(1月からの付加価値税引き上げ前後で見られた駆け込み需要の反動減警戒)
21:30 米2月耐久財受注
(2月ISM製造業景況指数で「新規受注」は04年1月以来の高水準。ただし、前日比では上昇鈍化で高止まり)
21:30 米新規失業保険申請件数
(寒波の反動などが改善傾向を後押し)
時間未定 南ア中銀、政策金利発表
(市場予想は据え置き。資源高などで、今後の利上げが示唆されるとランド高)
欧州連合首脳会議[25日まで]
(同日までユーロ高が継続していると利食い売り、調整が進展しているとユーロ買いの材料とされやすい)

<25日・金>
18:00 独3月Ifo景気動向指数
(原油高やECB利上げ地ならし、地政学リスク、ユーロ高などで急回復のペースが鈍化)
21:30 米10-12月期国内総生産[確報]
22:55 米3月ミシガン大学消費者信頼感指数[確報]
(株安、原油高、日本の震災などで改善ペースが鈍化も)
27日
ドイツ州議会選挙[ラインラント・プファルツ州、バーデン・ビュルテンベルク州]
((同日までユーロ高が継続していると週明けにかけて利食い売り、調整が進展しているとユーロの買い戻し材料とされやすい)





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