今週の為替相場展望 [為替情報]
今週8月1-5日週の為替相場は、根深いドル安や円全面高の継続とオーバーシュートの波乱、いったんの達成感によるドル反発や円反落の行方を見極める展開となる。
前週末の29日にドル/円ではドル安・円高が加速。
スペインの格下げ見通しなどのよるリスク回避の円高に加えて、米国の4-6月期GDPの伸び悩み、米国の債務上限引き上げ交渉の難航などがドル安と円高に拍車を掛けた。
米国の債務交渉や法案採決は日本時間の30日以降も続けられている。
週末中に何らかの前向きな進展があれば、今週1日は早朝オセアニア市場からドル反発や円全面安のサプライズでスタート。
反対に2日の期限までの打開のメドが見られないと、1日からの日本での証拠金取引レバレッジ規制とあいまって、週明け早朝からドル急落や円全面高が激化しかねない。
一方で焦点になるのが日本の当局の政策対応だ。
与謝野経済財政相は前週、介入について「米国の債務上限交渉を見極める必要がある」としながら、交渉期限のメドである2日が一つのポイントになる可能性を示唆した。
2日にかけて日本で円高・株安が加速するようであれば、日本単独の円高阻止介入や、日銀の緊急会合による追加量的緩和が想定されるだろう。
日銀は4-5日の金融政策決定会合で追加緩和を決める可能性もある。
もちろん、日本の当局が円高阻止に動いても、米国のデフォルト(債務不履行)や格下げ、欧州でのイタリアやスペインへの債務危機波及といったドル安、ユーロ安のリスクは根強い。
さらに米国では今週、1日にISM製造業景況指数、5日に雇用統計といった重要指標が相次ぐ。
こうした指標が悪化すると、改めてドル安や円全面高が促されるリスクも消えていない。
かたや米国からすると、このままドル安と米国の株安が続けば、景気の腰折れが現実化しかねない。
政権課題である雇用や住宅の回復が遅れるだけだ。
ドル安は米国の外需産業にはプラスとなる反面、資源相場の押し上げや輸入物価の上昇を通じて「景気低迷下の物価上昇」に作用。
同時に悪いインフレや、ドル安+債務懸念による外国マネーの米国債離れを通じて、悪い金利上昇(債券価格の下落)に伝播する潜在リスクを抱えている。
その意味でドル安や米株安が底抜け状態に陥るようだと、米国が日本やG7に協力を求める形でのドル安阻止や、市場安定化のための協調政策が協議される余地も残されている。
ちょうど今週は豪英欧で中央銀行の政策会合が予定されている。
市場混乱の深度次第では、各国当局の協調による市場安定化策も注目されそうだ。
ドル/円は77.00円の節目を完全に割り込むと、76.50円、76.00円の節目割れで、オプション関連などのドル売り誘発ストップロスが取り沙汰されている。
すでに3月安値76.25-30円方向が視界に入っているが、75円割れなどでも、ドミノ現象的なストップロスのトリガー(引き金)が山積しているという見方も根強い。
さらに米国でデフォルトや格下げの懸念が現実化すると、ドル調達キャリー取引の巻き戻しや米国マネーの本国回帰(リパトリエーション)を本格化させる。
対ドルで欧州通貨や資源国通貨が急落し、クロス円でもこうした通貨の暴落を招くことで円全面高の火種が残されている。
こうしたリスクと政策対応をにらみつつ、為替相場が大きく上下動する波乱相場には注意が必要。
テクニカルではドル/円、クロス円ともに、外貨の下値メドは3月安値など。
反対に政策対応や米国の債務問題が進展した場合は、まずは21日移動平均線や25日線などが外貨反発の上値メドとして注目される。
経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)
<1日・月>
10:00 中国7月製造業PMI
(引き締め効果や米国減速などで低迷警戒。リスク回避を後押しする反面、利上げ抑制がプラス要因に)
16:55 独7月製造業PMI[確報]
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI[確報]
17:30 英7月製造業PMI
(7月のPMI指数は世界的に悪化)
23:00 米7月ISM製造業景況指数/ISM支払価格
(相関性の高いシカゴPMI指数は予想を下回る。債務交渉難航も景況感の重石に)
日本で為替証拠金取引のレバレッジ(委託証拠金比率)規制の強化
(週明け以降、円高・株安が激化すれば日銀緊急会合の可能性)
<2日・火>
10:30 豪6月住宅建設許可件数
(利上げの累積効果などにより、豪州の住宅市場は減速傾向)
13:30 豪中銀、政策金利発表
(米欧中の経済に先行き不透明感。利上げ慎重の声明が豪ドル安材料に)
17:30 英7月建設業PMI
(英国の7月指標は総じて低迷。緊縮財政や欧米債務懸念なども重石)
21:30 米6月個人所得/個人支出
(自動車生産・販売の復旧やガソリン下落などにより、消費関連は打たれ強さ)
21:30 米6月PCEデフレーター
(資源高やドル安の累積効果などで下げ止まり。米債金利とドルを下支え)
米国 債務上限引き上げ問題、議会と政府の合意期限
<3日・水>
10:30 豪6月貿易収支、小売売上高
(米中減速や資源相場の下落などが悪材料に)
21:15 米7月ADP雇用統計
(週間の新規失業保険申請件数は小幅な改善。生産復旧などがプラス要因)
23:00 米7月ISM非製造業総合指数
(資源下落はプラス面も、債務上限交渉の難航が景況感のマイナスに)
<4日・木>
07:45 NZ・4-6月期雇用統計
(最新の企業景況感指標は改善。前期の震災被害の反動も焦点)
14:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[5日まで]
20:00 英中銀、政策金利発表
20:45 欧州中銀、政策金利発表
(予想は現状維持。米国の債務問題が泥沼化すれば緊急緩和などの株価・ドル支援策も)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週は改善。日本からの部品供給再開や資源下落などが下支え要因)
21:30 トリシェECB総裁、定例記者会見
(欧米債務危機やインフレへの発言焦点。インフレ警戒を堅持なら利上げ余地でユーロ高)
<5日・金>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後、結果公表]
(円高・株安の行方次第で追加緩和の可能性。市場の混乱次第では1日以降に緊急緩和も)
17:30 英7月生産者物価指数
(資源下落が物価上昇を抑制。利上げ後退でポンド安要因に)
20:00 加7月雇用統計
(前月までは底堅さ。資源高の一服や米欧中の経済動揺が微妙な重石)
21:30 米7月雇用統計
(伸び悩みへの警戒強い。ただし期待値が低い分だけ、前月の反動や生産復旧、資源反落などによる微妙な上振れを好感も)
前週末の29日にドル/円ではドル安・円高が加速。
スペインの格下げ見通しなどのよるリスク回避の円高に加えて、米国の4-6月期GDPの伸び悩み、米国の債務上限引き上げ交渉の難航などがドル安と円高に拍車を掛けた。
米国の債務交渉や法案採決は日本時間の30日以降も続けられている。
週末中に何らかの前向きな進展があれば、今週1日は早朝オセアニア市場からドル反発や円全面安のサプライズでスタート。
反対に2日の期限までの打開のメドが見られないと、1日からの日本での証拠金取引レバレッジ規制とあいまって、週明け早朝からドル急落や円全面高が激化しかねない。
一方で焦点になるのが日本の当局の政策対応だ。
与謝野経済財政相は前週、介入について「米国の債務上限交渉を見極める必要がある」としながら、交渉期限のメドである2日が一つのポイントになる可能性を示唆した。
2日にかけて日本で円高・株安が加速するようであれば、日本単独の円高阻止介入や、日銀の緊急会合による追加量的緩和が想定されるだろう。
日銀は4-5日の金融政策決定会合で追加緩和を決める可能性もある。
もちろん、日本の当局が円高阻止に動いても、米国のデフォルト(債務不履行)や格下げ、欧州でのイタリアやスペインへの債務危機波及といったドル安、ユーロ安のリスクは根強い。
さらに米国では今週、1日にISM製造業景況指数、5日に雇用統計といった重要指標が相次ぐ。
こうした指標が悪化すると、改めてドル安や円全面高が促されるリスクも消えていない。
かたや米国からすると、このままドル安と米国の株安が続けば、景気の腰折れが現実化しかねない。
政権課題である雇用や住宅の回復が遅れるだけだ。
ドル安は米国の外需産業にはプラスとなる反面、資源相場の押し上げや輸入物価の上昇を通じて「景気低迷下の物価上昇」に作用。
同時に悪いインフレや、ドル安+債務懸念による外国マネーの米国債離れを通じて、悪い金利上昇(債券価格の下落)に伝播する潜在リスクを抱えている。
その意味でドル安や米株安が底抜け状態に陥るようだと、米国が日本やG7に協力を求める形でのドル安阻止や、市場安定化のための協調政策が協議される余地も残されている。
ちょうど今週は豪英欧で中央銀行の政策会合が予定されている。
市場混乱の深度次第では、各国当局の協調による市場安定化策も注目されそうだ。
ドル/円は77.00円の節目を完全に割り込むと、76.50円、76.00円の節目割れで、オプション関連などのドル売り誘発ストップロスが取り沙汰されている。
すでに3月安値76.25-30円方向が視界に入っているが、75円割れなどでも、ドミノ現象的なストップロスのトリガー(引き金)が山積しているという見方も根強い。
さらに米国でデフォルトや格下げの懸念が現実化すると、ドル調達キャリー取引の巻き戻しや米国マネーの本国回帰(リパトリエーション)を本格化させる。
対ドルで欧州通貨や資源国通貨が急落し、クロス円でもこうした通貨の暴落を招くことで円全面高の火種が残されている。
こうしたリスクと政策対応をにらみつつ、為替相場が大きく上下動する波乱相場には注意が必要。
テクニカルではドル/円、クロス円ともに、外貨の下値メドは3月安値など。
反対に政策対応や米国の債務問題が進展した場合は、まずは21日移動平均線や25日線などが外貨反発の上値メドとして注目される。
経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)
<1日・月>
10:00 中国7月製造業PMI
(引き締め効果や米国減速などで低迷警戒。リスク回避を後押しする反面、利上げ抑制がプラス要因に)
16:55 独7月製造業PMI[確報]
17:00 ユーロ圏7月製造業PMI[確報]
17:30 英7月製造業PMI
(7月のPMI指数は世界的に悪化)
23:00 米7月ISM製造業景況指数/ISM支払価格
(相関性の高いシカゴPMI指数は予想を下回る。債務交渉難航も景況感の重石に)
日本で為替証拠金取引のレバレッジ(委託証拠金比率)規制の強化
(週明け以降、円高・株安が激化すれば日銀緊急会合の可能性)
<2日・火>
10:30 豪6月住宅建設許可件数
(利上げの累積効果などにより、豪州の住宅市場は減速傾向)
13:30 豪中銀、政策金利発表
(米欧中の経済に先行き不透明感。利上げ慎重の声明が豪ドル安材料に)
17:30 英7月建設業PMI
(英国の7月指標は総じて低迷。緊縮財政や欧米債務懸念なども重石)
21:30 米6月個人所得/個人支出
(自動車生産・販売の復旧やガソリン下落などにより、消費関連は打たれ強さ)
21:30 米6月PCEデフレーター
(資源高やドル安の累積効果などで下げ止まり。米債金利とドルを下支え)
米国 債務上限引き上げ問題、議会と政府の合意期限
<3日・水>
10:30 豪6月貿易収支、小売売上高
(米中減速や資源相場の下落などが悪材料に)
21:15 米7月ADP雇用統計
(週間の新規失業保険申請件数は小幅な改善。生産復旧などがプラス要因)
23:00 米7月ISM非製造業総合指数
(資源下落はプラス面も、債務上限交渉の難航が景況感のマイナスに)
<4日・木>
07:45 NZ・4-6月期雇用統計
(最新の企業景況感指標は改善。前期の震災被害の反動も焦点)
14:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[5日まで]
20:00 英中銀、政策金利発表
20:45 欧州中銀、政策金利発表
(予想は現状維持。米国の債務問題が泥沼化すれば緊急緩和などの株価・ドル支援策も)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週は改善。日本からの部品供給再開や資源下落などが下支え要因)
21:30 トリシェECB総裁、定例記者会見
(欧米債務危機やインフレへの発言焦点。インフレ警戒を堅持なら利上げ余地でユーロ高)
<5日・金>
09:00 日銀政策委員会・金融政策決定会合[終了後、結果公表]
(円高・株安の行方次第で追加緩和の可能性。市場の混乱次第では1日以降に緊急緩和も)
17:30 英7月生産者物価指数
(資源下落が物価上昇を抑制。利上げ後退でポンド安要因に)
20:00 加7月雇用統計
(前月までは底堅さ。資源高の一服や米欧中の経済動揺が微妙な重石)
21:30 米7月雇用統計
(伸び悩みへの警戒強い。ただし期待値が低い分だけ、前月の反動や生産復旧、資源反落などによる微妙な上振れを好感も)
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