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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週8月29日-9月2日週の為替相場は、根深いドルやユーロなどの外貨戻り売り圧力と、潜在的な円の売り戻しエネルギーとの綱引き相場となる。

前週末26日のNY市場ではドルが再下落。

バーナンキFRB議長は講演で量的緩和第三弾(QE3)こそ言及しなかったが、次回9月FOMCまでの追加緩和検討を示唆したことでドルが売り戻された。

一方で米国株は好感したことで、リスク回避は後退。

クロス円での円高は抑制されている。

米国では9月20-21日のFOMCにかけて追加緩和の思惑が残るため、ドルの戻り売りを支援しやすい。

一方で景気刺激策への期待感から米国株がサポートされると、安全逃避の米国債買いは一服(金利は下げ止まり)。

金利差面ではドル/円でのドルを下支えする。

政策期待によるリスク回避の後退は、クロス円発の円高を抑制するものだ(欧州通貨や資源国通貨をサポート)。

さらに日本では29日の民主党代表選挙で新首相が選出される。

野田財務相以外の候補は「増税前のデフレ脱却」を主張しており、日銀への金融緩和圧力が円高に歯止めを掛けやすい。

また、新政権で小沢元代表の影響力が高まると、財政赤字拡大への警戒感を喚起。

潜在的な債券安(金利は上昇)と日本売りのリスクを高める可能性を秘めている。

同時に政策対応という点では、引き続き欧州当局による債務金融不安への対処策が焦点となりそうだ。

現在は問題先送りで何とかユーロ安が抑制されているが、今秋から来年にかけてはユーロ域内で選挙が相次ぐ。

財政赤字国への支援に対する国民不安が高まるリスクが消えていない。

すでに先行きの欧州リスクを織り込む形で、ドイツの株価は急落に転じてきた。

一方、今週の注目材料は米国の経済指標だ。

30日の消費者信頼感指数、1日のISM製造業景況指数、2日の雇用統計など、主要指標は軒並み悪化が予想されている。

予想以上の低迷によるドル安と円高、懸念ほどには落ち込まないことによるドル高と円安という展開により、指標内容で一喜一憂の展開が想定されるだろう。

もっとも現状からの円全面高は「過大評価」の領域に入ることは間違いない。

IMFは7月19日、日本経済に関する年次審査報告で円相場については「中期的なファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に照らして適正とみられる」との判断を示していた。

7月19日以前にドル/円は78−82円で推移しており、76円以下の円高・ドル安は国際機関の客観評価でも行き過ぎとなる。

その意味で76円以下での政策的な円高歯止めは、国際的な理解を取り付けやすい。

さらに過去の様々なバブルの例を見るまでもなく、適正価値を超えて上昇が加速されると、いずれ倍返しの形で反動的な揺り戻しが入ることになる。

引き続き円高オーバーシュートのリスクはあっても、現状からは本格的に円高バブルの過熱感が意識されそうだ。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに、1カ月スパンのトレンドラインを示す21日移動平均線、25日線を意識した展開が続く。

こうしたラインの下抜けや、方向性の下向きが続いている間は、両ラインを上値抵抗線とした外貨の戻り売りトレンドが持続。

反対に上抜けや方向性の上向き化が定着してくると、両ラインを下値抵抗線とした外貨押し目買いへとトレンド転換することになる。


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経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<29日・月>
11:00 民主党代表選挙、両院議員総会での候補者演説後に投開票
(野田財務相以外の候補は増税前の脱デフレ重視。日銀への金融緩和圧力が円安要因。小沢元代表の影響力が高まると、財政赤字の拡大懸念で債券安・円安にも)
21:30 米7月個人所得/個人支出
(小売売上高は自動車販売の復調などで底堅さ)
21:30 米7月PCEデフレーター
(昨年からの資源安・ドル安の累積強化が微妙な押し上げ要因。金利低下とドル安を抑制)
22:00 トリシェECB総裁、ユンケル・ユーログループ議長、レーン欧州委員[経済・通貨担当]が欧州議会でユーロ圏債務危機打開策について証言
(ギリシャ追加支援の担保問題は進展も、欧州債務金融不安の火種は消えず)
23:00 米7月中古住宅販売成約指数
(最近の成約指数は改善傾向。ただし、成約後のキャンセルも増加)

<30日・火>
10:30 豪7月住宅建設許可件数
(豪州では不動産市場の頭打ちと調整局面入りに警戒感)
17:30 英7月住宅証券融資残高、マネーサプライ、住宅ローン承認件数
(欧米減速や緊縮財政などが英国の金融経済に重石)
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感[確報]、 鉱工業信頼感、業況判断指数
(債務金融不安などで欧州の8月指標は悪化が目立つ)
21:30 加7月鉱工業製品価格、原料価格指数
(資源下落で物価は抑制。カナダ・ドルの重石に)
22:00 米6月S&Pケースシラー住宅価格指数
(米国の住宅指標は低迷長期化。ただし、一定の悪化への織り込みは進む)
23:00 米8月消費者信頼感指数
(株価急落や景気減速懸念、緊縮財政への不安が下押しリスク)
27:00 米連邦公開市場委員会[FOMC、8月9日開催]議事録公表
(低金利長期化の公約や量的緩和第3弾に対し、反対論が目立つとドル高。米国株には悪材料でクロス円では円高)

<31日・水>
08:50 日7月鉱工業生産[速報]
(震災後の急落下と反動リバウンドを経たあとの息切れに警戒感)
18:00 ユーロ圏8月消費者物価指数[速報]
(資源下落や景気の減速がインフレ圧力を制御。今後の利上げ幅縮小でユーロに重石)
21:15 米8月ADP雇用統計
(景気減速懸念や緊縮財政への警戒感が企業側の採用を抑制。一定の悪化は織り込まれる)
21:30 加4-6月期国内総生産
(隣国・米国経済の減速や資源下落がカナダ経済を圧迫)
22:45 米8月シカゴ購買部協会景気指数
(日本からの部品供給再開による反動回復には一服感。その他の8月指標は総じて悪化)
時間未定 ブラジル中銀、政策金利発表
(資源下落や世界減速がインフレを抑制。先行き利下げ観測が中南米通貨の戻り売り要因に)

<1日・木>
10:00 中国8月製造業PMI
(HSBC集計の8月PMI指数は懸念ほど悪化せず。リスク回避を左右)
10:30 豪4-6月期民間設備投資、豪7月小売売上高
(米中減速や欧州債務金融不安、通貨高の累積効果などで豪州の成長は鈍化)
14:45 スイス4-6月期国内総生産
16:30 スイス8月製造業PMI
(低迷ならスイス中銀の通貨高阻止策が一段と強化へ)
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI[確報]
17:30 英8月製造業PMI
18:00 南ア8月カギソPMI
(いずれも低迷濃厚。ただし、一定の悪化は織り込まれ、懸念ほど悪化しない場合が市場の好反応を呼びやすい)
21:30 米新規失業保険申請件数
(改善ペースが鈍化。過去2週の悪化の反動回復が焦点)
23:00 米8月ISM製造業景況指数
(下振れによる景気後退の明確化に警戒感。一定の悪化への市場の「備え」は進捗)

<2日・金>
08:50 日4-6月法人企業統計調査
(4-6月期GDPの落ち込み度合いの参考に。デフレ=円高の圧力は根強い)
17:30 英8月建設業PMI
(英国の8月指標は総じて悪化)
21:30 米8月雇用統計
(通信大手べライゾンのストライキなどが下振れを助長。ただし、週間の新規失業保険申請は失業率の抑制を示唆)


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