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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週9月12-16日週の為替相場は、ギリシャ債務危機の緊迫化や世界株安、それに対する政策対応をにらみ、ユーロ安やユーロ/円主導の円高、対円以外でのドル高と反動修正に神経質な展開となる。

前週末にはユーロが大幅下落。

欧州中銀(ECB)による財政赤字国の国債買い入れに反対してきたドイツ出身のシュタルク専務理事が退任することで、ECB内の足並みの乱れやドイツ国内での財政赤字国救済に対する潜在的な消極姿勢が示された。

さらにギリシャに債務不履行の憶測が浮上。

ドイツ政府が実際のデフォルトに備えた協議を行っているという報道や、カナダ財務相がギリシャのユーロ離脱に言及したことなどもあり、ユーロ下落や欧米株安によるリスク回避の円高、資源通貨安に拍車を掛けている。

こうした危機の切迫化に対し、今週末のG7や欧州での緊急協議などで政策対応が出てくれば、今週早朝からユーロ反発や円全面安が見込まれる。

反対に日曜深夜までに動きがなければ、月曜の早朝からユーロ続落と円全面高の波乱を呼ぶ可能性も消えていない。

円についてはG7で円高是正の明確な理解取り付けに失敗した場合、今週から円高が加速されるリスクもある。

もっともユーロ急落やリスク回避の流れは、ドル全面高をサポートしている。

ドル/円でもドルが底堅くなっており、他通貨に対してのドル高の「出遅れ修正」が対円での潜在的なドル高エネルギーとなってきた。

さらに日本では9月決算が迫っている。

円高・株安が激化した場合は政府・日銀による円高阻止対応が想定されるだろう。

野田新政権は増税路線に邁進しているが、増税を固めるうえでもその前の「円高・デフレ阻止と景気回復」には危機感を強めている。

注目イベントはまず米国の経済指標。

前月の急悪化の反動で改善したり、物価の緩やかな上昇が確認されるとFRBの大幅な緩和期待を後退させ、ドル高を支援する。

反対に最新9月指標などで改めて減速が確認されると、ドル安に振れるリスクも排除できない。

その他、12-14日の米国債入札は債券価格の高値警戒(金利は低下)の反動調整による金利上昇がドル高要因となる。

また、13日の英国物価指標が落ち着きによるポンド安、15日のNZ中銀の政策会合が利上げ遅延によるNZドル安、同日のスイス中銀会合が新たな通貨高阻止策によるスイス・フラン安と失望によるフラン高の各材料として注目されるだろう。

テクニカルではドル/円、クロス円ともに、1カ月スパンのトレンドラインを示す21日移動平均線、25日線を意識した展開が続く。

こうしたラインの下抜けや、方向性の下向きが続いている間は、両ラインを上値抵抗線とした外貨の戻り売りトレンドが持続。

反対に上抜けや方向性の上向き化が完全に固まってくると、両ラインを下値抵抗線とした外貨押し目買いへとトレンド転換することになる。


シストレJP


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<12日・月>
10:30 豪7月貿易収支
(資源下落や世界減速で輸出が鈍化。貿易黒字の減少が豪ドルの悪材料に)
19:00 [OECD]7月景気先行指数
(世界経済の減速の深さと調整期間で参考になる先行指標)
29:00 フィッシャー・ダラス連銀総裁、金融政策について講演
(インフレ警戒のタカ派。追加緩和に否定的な見解も)
米3年債入札
(債券価格の高値警戒感とFRBによる短期債売り・長期債買いの思惑が悪材料。米債金利の上昇とドル高にも)

<13日・火>
07:45 NZ・8月食品価格指数
(根強い農産物価格の上昇がNZドルを下支え)
10:30 豪8月NAB企業景況感指数、NAB企業信頼感指数
(米中減速や欧州債務金融不安、世界株安などで景況マインドが悪化も)
17:30 英8月消費者物価指数
(資源下落や世界減速で物価高が一服。追加の量的緩和を支援でポンドを圧迫)
21:30 米8月輸入物価指数
(資源下落とドル安一服が輸入物価を抑制。インフレ後退が追加緩和観測とドル安支援)
米10年債入札
(債券価格の高値警戒感により、入札不調なら金利上昇とドル高。安全逃避や追加緩和期待による米債需要も根強い)

<14日・水>
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
(ドイツの鉱工業生産は7月までは底堅さを保っていた)
21:30 米8月生産者物価指数
(前月は季節調整で特殊な上振れ。反動的な落ち着きがFRBの追加緩和を支援)
21:30 米8月小売売上高
(日本からの部品供給正常化により、自動車販売が底堅さを保つ)
米30年債入札
(債券価格の高値警戒感により、入札不調なら金利上昇とドル高。安全逃避や追加緩和期待による米債需要も根強い)

<15日・木>
06:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(世界減速や欧州債務危機、資源下落がインフレと成長を抑制。利上げ遅延がNZドルを圧迫)
16:30 スイス中銀、政策金利発表
(新たな通貨高阻止策に警戒感。現状維持なら単発的なフラン高も)
17:30 英8月小売売上高
(欧州債務懸念や株安、財政緊縮などがマイナス要因)
18:00 ユーロ圏8月消費者物価指数[改定値]
(資源反落や世界減速でインフレ後退。ECBの利下げ観測がユーロ安材料に)
21:30 米8月消費者物価指数
(春までの資源安とドル安の累積効果が物価を押し上げ。FRBの大幅緩和を阻害でドル高にも)
21:30 米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数
23:00 米9月フィラデルフィア連銀景況指数
(最新9月指標。追加緩和期待や株価下げ止まり、資源下落で前月急減の反動焦点)
21:30 米新規失業保険申請件数
(前週までは再悪化。連休の影響が撹乱要因)
22:15 米8月鉱工業生産
(日本からの部品供給再開を受けた自動車生産の復旧や猛暑による電力・ガス生産の増加が下支え)

<16日・金>
15:30 インド中銀、政策金利発表
(インフレ圧力は根強いが世界減速や資源下落が先行き物価を抑制。引き締め後退が新興国の株価を支援)
22:00 米7月対米証券投資
(7月はリスク回避で米国債への資金流入が加速。ドルをサポート)
22:55 米9月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(前月で多様な悪材料の織り込みは進展。低位での横這いにも)
欧州連合財務相、非公式会合
(ギリシャなどの債務危機への対応焦点に。失望とサプライズ対策の両にらみ)


シストレJP


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