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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週12月5日-9日週の為替相場は、ドル/円、クロス円での円売り戻し(外貨買い戻し)の持続性と円高再開のリスクをにらんだ神経質な展開となる。

前週末2日のNY市場ではクロス円で円が反発(外貨が反発)。

米国の11月失業率は改善したものの、「失業中の人が職探しをあきらめたことに伴う労働力人口の減少が要因」との見方が広がるに連れてリスク回避が優勢になった。

スペイン格下げの噂や、欧州債務金融危機に対する過度な政策期待の後退などもユーロを中心とした欧州通貨安、リスク回避による豪ドル、NZドル、カナダ・ドルなどの資源国通貨安に作用している。

今週の最大の注目は8日の欧州中銀(ECB)理事会と8-9日のEU首脳会議だ。

ECBは追加利下げの思惑が、理事会前の段階からユーロの戻り売り材料となりやすい。

一方でECBの追加緩和とEU首脳会議での財政健全化策を含めた危機対応の強化が進展すると、リスク回避の後退を支援。

欧州通貨高と資源国通貨高、ドル全面安、クロス円での円安を後押しする余地も秘めている。

もちろん、EU首脳会議は失望や材料の出尽くしによるユーロ安、ユーロ/円主導の円全面高というリスクもはらむ。

もっとも前週の日米欧などの中銀によるドル資金供給や、最近の米国経済指標の改善、中国の預金準備率引き下げなどを受けて、年越えに向けた金融経済危機の不安は後退してきた。

欧州でよほどの危機が再燃しない限りは、単発的な円全面高はあっても、ドル/円、クロス円で円の戻り売り(外貨の押し目買い)が持続する可能性がある。

円に関しては、10月31日の大規模介入以外でも覆面介入が行われた事実が明らかになり、日本の当局による1ドル=75-76円の死守姿勢が再確認された。

一方では日本では貿易収支の赤字転落や財政不安、国債の格下げリスク、日銀の9月中間決算「赤字化」などにより、一時のような安全逃避の円買い圧力は和らいでいる。

海外勢の年末決算に向けて、これまで消去法で過大評価されてきた円高の割高修正が、ドル/円、クロス円での円安・外貨高要因として注目されそうだ。

しかも貿易収支に関しては、原油相場が高止まりしている。

主要中銀によるドル資金供給や世界的な金融緩和、構造的な原油の生産・開発コストの上昇、イラン情勢の緊張などが、冬季の資源需要とあいまって原油高をサポートし始めた。

その中で日本では火力発電の増強などにより、資源輸入が増加傾向にある。

原油高は輸入の拡大傾向を後押しさせるものだ。

かたや輸出は世界経済の減速や円高の累積効果、海外移転の加速などにより、急減傾向が続いている。

為替需給面で輸入増加はドルの押し目買い(円売り)を漸増させ、反対に輸出減少はドルの戻り売り圧力(円買い)を漸減させていくというトレンド変化を誘発させていく。

なお、テクニカルではドル/円が5日移動平均線、25日線の「上抜け」と両ラインの方向性の「上向き化」が持続。

両ラインの上抜けと上向き状態が続いている間は、5日線や25日線を下値メドとしたドルの押し目買いとドルの下値切り上がりトレンドが意識されやすい。

かたやクロス円は、いずれも5日線が下から21日線や25日線を上抜けるという、ゴールデンクロス(外貨の買いシグナル)点灯の攻防に直面してきた。

これから5日線が上抜け突破できれば、5日線や21日線、25日線を下値メドとした外貨押し目買いの基調が明確化。

反対に上抜けに失敗すると、5日線や21日線、25日線などを上値メドとした外貨の戻り売りと下攻め(円高)に回帰するという、重要分岐点を迎えている。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<5日・月>
17:55 独11月非製造業PMI[確報]
18:00 ユーロ圏11月総合PMI[確報]
(11月の独IFO景況指数は懸念ほど悪化せず。資源安やユーロ安、ECB利下げが下支え)
20:00 アンドレア・エンリアEBA(欧州銀行監督機構)議長、講演
(欧州系金融機関に対するストレステストの結果と資本増強の必要額に注目が集まる)
24:00 米11月ISM非製造業総合指数
(失業率の低下やガソリン下落、株安一服などが下支え要因に)

<6日・火>
12:30 豪中銀、政策金利発表
(欧中不安などで景気慎重見通しも。米国改善と原油高が追加利下げを遅延で豪ドル下支え)
19:00 ユーロ圏7-9月期GDP[改定値]
(来年の景気悪化リスクがユーロの上値を抑制)
23:00 カナダ中銀、政策金利発表
(欧州不安を受けた先行き利下げ示唆がカナダ・ドルの上値抑制。現状維持を強調ならカナダ・ドル下支え)

<7日・水>
09:30 豪7-9月期GDP
(7-9月は成長減速。ただし一定の悪化は織り込み済み)
15:45 スイス11月失業率
(スイス高の抑制効果で改善なら、通貨高政策への警戒が緩和)
18:30 英10月鉱工業生産、製造業生産
(欧州債務金危機や英国の財政緊縮などで英国の指標は悪化傾向)
20:00 独10月鉱工業生産
(10月は欧州で債務金融危機が深刻化。ただし一定の悪化は織り込み済み)

<8日・木>
05:00 ニュージーランド中銀、政策金利発表
(市場予想は据え置き。先行きの利下げ示唆がNZドルの調整売り材料にも)
08:50 日10国際収支統計
(貿易収支の赤字化で経常黒字が減少。中長期的に円高を抑制へ。国債価格にも悪材料)
09:30 豪11月雇用統計
(11月の製造業景況指数は改善。前月から減速傾向に一服感も)
21:00 英中銀、政策金利発表
(会合前は追加緩和の地ならし警戒がポンド安材料に。会合は見送り有力でポンド買い戻しも)
21:45 欧州中銀、政策金利発表
21:30 ドラギECB総裁、記者会見
(会合前は大幅利下げの思惑がユーロを圧迫。実際の利下げ後にはユーロ安のあと、材料出尽くしでユーロ買い戻しも)
22:30 米新規失業保険申請件数
(前週は4週ぶり悪化も祝日などが影響。反動改善が焦点に)
欧州連合首脳会議[ブリュッセル、9日まで]
(会合前は政策期待がユーロの下支えやリスク選好の円安要因。失望や出尽くしのリスクも)

<9日・金>
11:00 中国11月消費者物価指数
(商品下落や世界減速がインフレ抑制。引き締め後退への期待感がリスク選好の円安に)
18:30 英11月生産者物価指数
(資源下落や景気減速でインフレ沈静。2月追加緩和観測がポンドの上値を抑制)
22:30 米10月貿易収支
(資源下落が輸入を押し下げで貿易赤字の減少に作用。中長期的にドルをサポートへ)
23:55 米12月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(年末商戦の出足は良好。失業率の低下やガソリン下落などが消費マインドの改善支援)
欧州連合首脳会議[ブリュッセル、最終日]


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ケイ

こんばんは。☆
by ケイ (2011-12-04 20:37) 

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