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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週2月27日-3月2日週の為替相場は、円全面安の持続と過熱調整による円高の行方をにらんだ展開となる。

前週はドル/円、クロス円で円全面安が継続。

ギリシャ債務問題の小康によるリスク選好のほか、米独の指標改善、安全逃避の後退による米欧など海外の国債金利上昇(金利差拡大、債券価格は下落)、反対に日銀の追加緩和を受けた日本の国債金利低下(債券価格は上昇)などが円安要因となっている。

同時に昨夏以降のリスク回避相場の中で、過度に日本の短中長期債に逃避してきた海外の官民マネーも、国外へと戻り始めた(円売り戻し)。

市場テーマが「リスク回避の反動修正」となっており、ドル/円、クロス円ともに欧州債務危機が本格化する前の昨年7月以前、あるいは4月の当時までの水準回復が焦点となってきた。

一方、国内要因では日銀の追加緩和や財務省・日銀の介入警戒感のほか、貿易赤字の急拡大、日本の格下げリスク、日本の株価反発による国内投資家のリスク回避後退(対外証券投資の復活兆候)などが円安材料となっている。

さらには円高を利用した海外企業の買収(M&A)、円高対策に伴う海外移転と対外直接投資の拡大、火力原発の増強と原油高による輸入企業のドル買い手当ての増加なども、需給面でのドル高・円安をサポートしつつある。

最近は先行きのドル安やユーロ安のリスクに備えて、過度に先物ヘッジでのドル売り、ユーロ売りを進めてきた国内の輸出企業や機関投資家から、ヘッジ修正のドル買い戻しやユーロ買い戻しも見られている。

反対に株式市場では、先行きの円高による為替差益を狙って日本の株買い・円買いを進めてきた外国人投資家から、今後の円安による日本株の為替差損を警戒した先物ヘッジの円売り(ドル買いやユーロ買い)も円安材料として注目され始めた。

もっとも短期的には円全面安に過熱警戒感が高まってきた。

3月は季節的に国内企業の決算対策による海外収益の円転(本国回帰=リパトリエーション)が円高圧力を強めやすい。

今週は米国の経済指標が、前月までの急回復の反動鈍化や原油高の影響によって、下振れを示すリスクがある。

加えて現在のリスク選好による日米株高・円全面安は、29日の欧州中銀(ECB)による3年物資金供給オペ「第2弾」への期待感もエンジン役となってきた。

そのため29日のオペ終了後には「材料出尽くし」による利益確定やポジション調整、新たな金融問題の発覚によるリスク回避を受けて、調整的な円の買い戻し(外貨の売り戻し)が入るリスクも消えていない。

その他、円安トレンドの定着を阻むリスクとしては、29日のバーナンキ米FRB議長の議会証言や地区連銀報告での米国の景気回復への慎重見通しとゼロ金利の長期化の堅持強調、欧州債務危機のぶり返し、中国経済のハードランディング懸念、日本の政府・日銀の円高阻止策の弛緩、国外からの円安牽制や日本に追随する通貨高阻止策の強化、円安と海外景気の復調による日本の輸出の復活などが注視されるだろう。


経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<27日・月>
06:45 NZ・1月貿易収支
(通貨高による輸出減、復興需要による輸入増が赤字減少=通貨高抑制のリスクに)
23:00 ドイツ連邦議会[下院]、第2次ギリシャ支援について採決[開始予定]
24:00 米1月中古住宅販売成約指数
(雇用の復調やローン金利の低下、暖冬などがサポート要因)

<28日・火>
19:00 ユーロ圏2月消費者信頼感[確報]、鉱工業信頼感、業況判断指数
(ユーロ安とECBの緩和効果などで欧州の2月指標は底堅さも)
20:00 英2月CBI流通取引調査
(欧州債務不安の一服や追加量的緩和などがサポート要因)
22:30 米1月耐久財受注
(前月までの急回復の反動、原油高、航空機受注の1月減少などで下振れ警戒)
23:00 米12月及び10-12月期S&Pケースシラー住宅価格指数
(米国の住宅市場は底入れ傾向。今後は伸びの角度がポイントに)
24:00 米2月消費者信頼感指数
(雇用回復や株高が下支え。原油高・ガソリン高や年末商戦の反動などが下振れ波乱)
26:30 ジョルダン・スイス中銀副議長、講演[チューリヒ]
(通貨高阻止姿勢の堅持が焦点。欧州不安の一服により、通貨高阻止が緩むとサプライズ)

<29日・水>
06:45 NZ・1月住宅建設許可
(少しでも鈍化なら調整のNZドル下落材料に)
08:50 日1月鉱工業生産[速報]
(タイ洪水などからの反動回復が続くと、株高・円安の好循環を支援)
09:30 豪1月民間部門信用、09:30 豪1月小売売上高
(少しでも鈍化なら調整の豪ドル下落材料に)
10:00 亀崎日銀審議委員、福岡市の金融経済懇談会で講演
14:00 亀崎日銀審議委員、福岡市で記者会見
(日銀は円高阻止を完全に固める追加緩和措置に注目が集まる)
17:55 独2月雇用統計
(ユーロ安やECBの緩和効果、米国経済の復調などで改善持続も)
18:30 英1月消費者信用残高、住宅証券融資残高、住宅ローン承認件数
(欧州不安の一服や株高、ポンド安効果などで下げ止まり傾向)
22:30 米10-12月期GDP[改定値]
(在庫要因などがテクニカルな下方修正のリスク)
23:45 米2月シカゴ購買部協会景気指数
(改善持続も前月までの回復の反動鈍化や原油高などが下振れリスク)
24:00 バーナンキFRB議長、金融政策について下院金融委員会で証言
28:00 ベージュブック[米地区連銀経済報告書]公表
(景気慎重見通しやゼロ金利政策の長期化が再強調されるとドル安。微修正ならドル高)
ECB3年物オペ
(リスク選好による円安やユーロ高を支援。実施後は「材料出尽くし」の円高やユーロ安に警戒も)

<1日・月>
09:30 豪1月住宅建設許可件数、豪10-12月期民間設備投資
(基本は底堅さ。少しでも鈍化なら調整の豪ドル下落材料に)
10:00 中国2月製造業PMI
(持ち直しがリスク選好を後押し。直前の市場ムードが悪ければ、緩和期待後退のリスク回避にも)
18:00 ユーロ圏2月製造業PMI[確報]
(ドイツ以外の指標は伸び悩み。少しでも鈍化なら調整のユーロ下落材料に)
18:30 英2月製造業PMI
(欧州不安の一服や米国経済の復調などで改善も。原油高が撹乱要因)
22:30 米1月個人所得/個人支出
(1月の小売売上高は伸び悩み。自動車販売が昨年からの急回復の踊り場調整に)
22:30 米新規失業保険申請件数
(雇用は改善トレンドが明確化してくる。連休要因などによる反動の足踏みは警戒)
24:00 米2月ISM製造業景況指数
(改善持続。前月までの急回復の反動や原油高などが鈍化の撹乱要因)
バーナンキFRB議長、上院銀行委員会で証言
EU首脳会議[ブリュッセル、2日まで]

<2日・金>
08:30 日1月全国消費者物価指数
(物価低迷が再確認されると、日銀に追加緩和阻止のプレッシャー)
18:30 英2月建設業PMI
(欧州不安の一服や米国経済の復調などで改善も。原油高が撹乱要因)
22:30 加12月及び10-12月期GDP
(昨年10−12月は各国ともに経済が停滞)
EU首脳会議[最終日]


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