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今週の為替相場展望 [為替情報]

今週4月8日-12日週の為替相場は、円全面安の持続性と短期的な調整円高をにらんだ展開となる。

前週は前半円高のあと円全面安が加速。

4日に日銀が異次元緩和を実施したで円が急落し、5日には米雇用統計が悪化しても円が再下落するという勢いの強さを見せた。

基本的には黒田日銀による2年間の時間軸による緩和強化が、長期スパンでの円の戻り売り(外貨の押し目買い)要因となりやすい。

海外からも、米FRBが年後半にかけて資産買い入れ(量的緩和)の縮小を模索するのと「逆ベクトル」の日銀緩和が円安・ドル高をサポートしやすいこと、日銀の物価2%目標に向けたデフレ改善の余地がそのまま円の下落余地につながること(デフレは通貨高、インフレは通貨安要因)、日本国内にジャブジャブ溢れる日銀緩和マネーが緩やかに国外へと漏出していく可能性などにより、改めて長期スパンでの円安見通しが広がってきた。

テクニカル面でいえば、ドル/円はまず99-100円、来年以降にかけて105円や110円、120-125円方向を見込む声も出ている。

すでに米国株などの外国株はリーマン・ショック前の高値を回復するなか、日本株やドル/円、クロス円は出遅れ状態が続いており、調整を経ながらも段階的にリーマン・ショック前の水準を目指すという見方も少なくない。

もっとも短期的には2009年以降、4-5月は株安や円高が加速される季節パターンが続いてきた。

ここ数年は米国株が年央に踊り場減速する季節性があり、今年も給与減税の失効や強制的な歳出削減などとあまって、米国の指標悪化が目立ち始めている。

同時に日本での円安・株高を主導してきたヘッジファンドなどの短期筋は、5月決算や6月決算が接近してきた。

4月1日からの突発的な株安・円高ショックのように、おりにふれてポジション手仕舞いや利益確定が調整円高を加速させる潜在リスクは残されている。

今週でいえば米中の指標鈍化リスク、FOMC議事録での緊縮財政などに伴う景気の慎重見通し、米国企業の決算発表のスタートによる米国株の調整下落、中国での鳥インフル感染の拡大懸念、北朝鮮発の地政学リスク、欧州不安の再燃などが、スピード調整による円高・株安の波乱要因として警戒されるだろう。

さらに4月18日以降には、G20会合やIMF総会などの国際イベントが相次ぐ。

それまでに円安が一段と加速されると日銀の異次元緩和や円安志向への牽制が想定され、海外当局からの円安批判が調整円高の材料となる可能性を秘めている。

国内でも日銀緩和を受けた5日の国債市場の乱高下に対する反応が焦点になりそうだ。

5日に10年物国債金利は過去最低の0.3%台に急低下(債券価格は急騰)したあと、一気に0.6%方向へと急上昇(価格は急落)した。

日銀緩和が「国債売り・円売りの引き金を引いた」、「円安が輸入価格の押し上げを通じ、家計や輸入企業の収益を圧迫させる」との批判が高まるようなら、日銀の次の一手への制約が円高材料となる可能性をはらむ。

反対に海外勢からは8日の日本の経常収支の悪化リスクなどとあいまって、日本の国債売り・円売りの仕掛けが活発化する円全面安のオーバーシュート・シナリオも完全には排除できない。


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経済指標・イベント解説(時間は全て日本時間。予定・未定を含む)

<8日・月>
08:50 日2月国際収支統計
(赤字幅は減少も赤字傾向の定着リスク。円安地合いを支援)
10:30 豪3月求人広告件数
(注目度は低いが、豪州の次回雇用指標の参考に)
19:00 独2月鉱工業生産
(欧州の指標は悪化傾向。ユーロ安が過度な下振れを抑制も)
米企業決算 アルコア
(決算発表の先頭バッター。中国の成長伸び悩みなが重石)

<9日・火>
08:15 バーナンキFRB議長、アトランタ連銀の会合で講演[ストーンマウンテン]
(3月雇用統計の悪化が一時的か否かの判断焦点。資産買入の縮小準備の示唆も注目)
08:50 日銀政策決定会合議事要旨[3月6-7日分]
(前週4日の緩和で当座の対応は出尽くしか、別の緩和措置が残されているかのヒントに)
10:30 豪3月NAB企業景況感指数、企業信頼感指数
(2月からは雇用、住宅、小売、貿易収支などの指標が改善。中国停滞は撹乱要因)
10:30 中国3月消費者物価指数
(資源や食品の価格上昇がインフレ要因。高止まりならリスク回避に)
17:30 英2月鉱工業生産
(英国の2月指標は低調。ただし、生産はポンド安などが下支え)
21:15 加3月住宅着工件数
(カナダは3月の雇用指標が大幅に悪化。米国の資源「自主開発」なども重石)
23:00 米2月卸売在庫、米2月卸売売上高
(米国の2月指標までは改善傾向。小売売上高も2月5カ月ぶりの高い伸び)
国際通貨基金[IMF]世界経済見通し[分析]
(下方修正に警戒感。日米経済の持ち直しがプラス要因にも)

<10日・水>
19:00 OECD主要国2月景気先行指数
(外国人投資家による日本の外需株投資の参考指標。回復の持続焦点)
27:00 FOMC議事録[3月19、20日分]
(景気判断の上方修正や、資産買入の縮小意見が強まるとドル高に。
時間未定 中国3月貿易収支
(緩やかな輸出と輸入の回復が示されるとリスク選好に)

<11日・木>
10:30 豪3月雇用統計
(2月からは雇用、住宅、小売、貿易収支などが改善。反動悪化や中国停滞は撹乱要因)
15:00 独3月消費者物価指数[確報]
(ユーロ安や資源高などが小幅な上振れ要因。ECBの早期緩和抑制でユーロ下支えも)
21:30 米新規失業保険申請件数
(給与減税の失効や歳出削減で悪化傾向。イースター商戦などによる反動改善は波乱)
ケリー国務長官、アジア歴訪[11−14日]
(北朝鮮情勢の緊迫化への対処がテーマ。潜在的なリスク回避の懸念材料)

<12日・金>
07:45 NZ3月食品価格指数
(商品相場の上昇や世界回復などで上昇も。NZドルをサポート)
18:00 ユーロ圏2月鉱工業生産
(2月の欧州指標は低調。ユーロ安が過度な下振れを抑制)
19:30 ユーロ圏財務相会合
(キプロスやイタリアなどの問題で協調示されるとユーロ高、進展なければユーロ安)
21:30 米3月小売売上高
(3月後半のイースター商戦が反映されるか否かに不透明感。前月改善の反動鈍化は懸念)
22:55 米4月ミシガン大学消費者信頼感指数[速報]
(前月の大幅改善の反動鈍化が波乱。3月からは雇用指標も伸び悩む)
米企業決算 JPモルガン・チェース[20:00]、ウェルズ・ファーゴ[21:00]
(住宅市場の回復や金利の低下などが支援材料。高値警戒の続く米国株を左右)


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コメント 1

macinu

激しい円安ですね~!アメリカ雇用統計もあま有りよくないのにここまで幾日は思いませんでした。
by macinu (2013-04-07 13:54) 

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